Mac最上位とエントリー機がAIフォーカスな理由 量子化データ処理へ向けた戦略

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写真編集アプリの超解像や被写体認識、動画編集アプリでの被写体認識や自動フレーミング、文字起こし機能などが代表的なところだろうか。AI機能はOSに組み込まれる以前から、さまざまな形で我々の手元に届き始めている。

外観デザインが共通のM2 MacBook Airと比較した場合でも、大きく向上していることが確認できた。

Geekbench ML(なおテスト実施前後で名称がGeekbench AIに変化したが、基本的には同じもの)は、AIにおける学習タスクや推論タスクの性能を計測するもので、CPU、GPU、Neural Engineと、それぞれ異なる処理回路での計測が行える。

CPUやGPUも、処理スループットが向上しているが、これは半導体技術の正常な進化の範疇と言える。しかし、Neural Engineのスコアを見ると標準精度での演算結果はクロック周波数が少しばかり向上している程度の違いでしかないが、精度が半分に落とされた場合のスコアでは差が広がり、量子化時のスコアはM2の29019点に対し、M4では51205点と1.8倍近い大幅な向上を記録している。

Pixelmater Proでの超解像処理を行ってみると、この数字に近い向上を示した。Apple Intelligenceに合わせて2倍速になったと言われてきたNeural Engineだが、このように量子化データにおけるパフォーマンス向上が改良のカギのようだ。

量子化データの扱いを高速化した改良はApple Intelligenceのようなオンデバイス言語モデルだけではなく、同様にAIモデルを参照しながら行う被写体認識などでも高速化に効くだろう。

なお、量子化データの処理能力が向上した新しいNeural EngineはM3にも搭載されておらず、M4ファミリー以降が搭載されたMacにおいて期待できる部分だ。

マイクロソフトが推進するCopilot+PCなどにも言えることだが、オンデバイスでのAI機能組み込みにおけるカギは、こうした推論エンジンの改良が欠かせない。

“メインメモリ512Gバイト”がもたらす新ワークフロー

一方、同時に発表されたMac Studioは、すでにMacBook Pro向けに搭載されているM4 Maxに加えてM3 Ultraモデルが発表された。

M4 Maxはクリエイター向けに求められる性能を1チップで受け止める省電力なハイエンドチップだが、ここまでの文脈からもわかる通り、量子化データの扱いが高速化された新しいNeural Engineなど、オンデバイスAIの面でも高性能化が図られている。

ちなみにM4 Maxは改良型Neural Engineを2基搭載している。

しかし、ここまでの文脈からもわかる通り、M3に搭載されているNeural Engineは量子化データの処理速度を強化したものではなく前世代の設計である。価格面でもよく似た構成ではM4 Max搭載モデルの方が安価であり、これまでの常識から言えばM3 Ultraをあえて選ぶ意味はあまりない。

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