月9「119」でゲスト声優多用に生じた"違和感"の訳 「演技が浮いてる」「トーンが違いすぎる」 などの声
声優の実力については言わずもがなだが、そんな声優たちと俳優の演技がなじまなかったのはなぜなのか。
その理由には、演技以外の要素が少なからず影響しているように見える。
演技の違いが目立ちやすいフォーマット
まず一因として考えられるのは、「指令管制員」と「通報者」という対照的な配役が、演技のちぐはぐさをより際立たせてしまったこと。
俳優が演じる指令管制員は通報者を導く仕事だ。危機迫る状況であってもプロとして冷静な対応が求められるため、俳優は当然落ち着いた態度で演じることになる。一方、声優たちが演じるのは緊急事態の渦中にいる通報者。パニック状態や危機感を表現する激的な芝居が求められる。
個人の経験の違いはさておき、俳優と声優はそれぞれ種類の異なる専門職のようなもの。演技の性質に元々の違いは存在するため、対照的な配役によってその差異がより強調されてしまったのではないか。
また、声優が「声だけで俳優として演じる」ケースはそもそも珍しく、どちらに転ぶか未知数な企画だったこともあるだろう。「洋画の吹き替えみたいなものでは」と思う方もいるかもしれないが、『119』で求められるのは吹き替えではなく、あくまで“俳優”だからややこしい。
これまで声優がドラマで「声の出演」をする場合は、キャラクター役など本来の声優業と近い仕事が多かった。
昨年放送されたドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系)では、VFXの悪魔キャラクターの声を声優が演じている。現在放送中の『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)も同様で、作中に登場する人形劇の人形に声優が声をあてている。
そんな中で『119』のように、声だけで俳優の役割を担うケースは珍しい。このような声優の起用パターン自体は新鮮だ。しかし実際には、このキャスティング手法が作品にとって果たして最適だったのか、どこか惜しいような印象が否めない。
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