韓国鋼材流入に泣く日本、通商措置断行も視野

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通商措置を発動か?

「必要があれば、通商措置も辞さない」(新日鉄幹部)。高炉メーカーは、安すぎる輸入材を締め出す強硬措置もちらつかせ始めた。

焦点となるのが、アンチダンピング関税(AD)だ。これはWTO(世界貿易機関)の定めるルールで、輸出される際の価格が輸出国の国内販売価格より安い不当廉売に対し、関税を賦課できるもの。

鉄鋼・金属業界はADの発動件数が全世界合計で700件以上と最も多い。が、日本の実績はゼロ。企業からの申請がないためで「弱腰、やられっぱなし」(鉄鋼関係者)の状況だ。経済産業省の岩瀬恵一・特殊関税等調査室長は、「貿易救済措置を遠慮せずに申請してほしい」と呼びかける。

それでも行使には壁がある。「ADは外交カードになる」との声もある一方、「輸出もかなりしているので、右手の拳を上げると左手が傷ついてしまう」(中堅高炉幹部)と慎重意見が大勢だ。韓国は日本鉄鋼業の最大の輸出先の一つ。円高で輸出は赤字だが、工場の稼働率維持のため、輸出量は落とせない。日本メーカーがADを発動すれば、韓国も対抗措置に出るおそれがあり、実施に踏み切れないというわけだ。

新日鉄の幹部は「(円高対応のため)今後は海外に高炉を建設しなければならないのでは」と苦渋をにじませる。日本の製造業を取り巻く環境は、厳しくなるばかりだ。

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(山内哲夫 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2012年2月18日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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