J-POPの世界的ヒット"バズ狙い"は活路にならず ストリーミング時代に浸透した「SNS拡散」の功罪

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――SNSによって、アーティストとファンの関係も、アーティスト側からのアプローチだけではなくなってきています。

これまでは、アーティストとファンの間にプラットフォームや店舗、イベントのプロモーターやチケット販売業者などが介在し、直接の交流は難しい状況だった。それがSNSの登場でファンと直接つながるようになった。

一方で、複数のプラットフォームが存在していることや、ストリーミングサービスには膨大な数の楽曲があるため、多くのアーティストにとって、プロモーションを行い、知名度を上げ、ファンとより深いつながりを持つことは難しい状況ともいえる。

J-POPのヒットに必要なポイント

――日本語で歌われた楽曲が、グローバルでヒットする可能性はあるのでしょうか。

スペイン語や韓国語、ポルトガル語など、さまざまな言語で世界的なヒットが生まれている。個人的な意見だが、リズミカルでダンサブルなジャンルなら、英語以外でもブレイクしやすいのではないかと考えている。

日本のヒットでは、YOASOBIのデータを追いかけるのは興味深かった。Mrs. GREEN APPLEについても、ヒットの背景を理解するために詳細な分析を行っている。

ゆるやかなで着実なヒットだったか、前触れなくヒットしたのか。テレビ出演や(SNSなどの)バイラルな瞬間をきっかけに加速したのかなどを調査する。こうした点が、われわれが扱うデータの力の1つだろう。

――J-POPは一部、海外で聴かれる例も出てきましたが、世界的な大ヒットには至っていません。どんなアプローチが必要ですか?

最も大事なことは、人々はアーティストや、その出身国の文化とつながりを感じたいと思っているということ。そうしたポイントを作り、新たな音楽や文化を発見する手助けをすることが欠かせない。

動画配信サービスのネットフリックスをはじめとする国際的なメディアの中で、特にエキサイティングなコンテンツはアニメだ。若い世代が日本文化に興味を持つポイントを築くことが可能になった。文化を発信するイベントも増えており、こうしたところにチャンスがある。

また、インドネシアなどは非常に力強い発展を遂げている。タイ、ベトナム、その他の東南アジア諸国も、J-POPを含むさまざまな日本のアーティストにとって、重要な市場になっていくだろう。

最近はジャンルや国を超えてアーティストとコラボレーションする例が増えている。これは非常に有益で、さらに注目すべき戦略だ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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