J-POPの世界的ヒット"バズ狙い"は活路にならず ストリーミング時代に浸透した「SNS拡散」の功罪
――近年はTikTokなどSNSの存在が、音楽の聴き方に変化をもたらしています。
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特にショート動画は、人々が最初に楽曲を耳にして「ストリーミングでフルバージョンを聴こう」というきっかけを提供している。
若い世代はTikTokやInstagram、YouTubeのショート動画を通じて音楽を聴く機会が増えた。ショート動画が話題になり、ストリーミングの再生回数が急増する現象は何度も起きている。
一方で、友人や家族の紹介、テレビ番組や映画、ライブツアー、音楽アワードの授賞式、チャートでの活躍なども変わらず重要だ。
昔ながらの口コミも大きな力を発揮している。アーティストが小さな会場で演奏して新たなファンを獲得し、そのファンがさらに多くの人々に紹介するという形だ。
SNS拡散狙いの功罪
――K-POPグループが欧米でヒットする例も増えています。
TikTokなどSNSの成長も、K-POPの認知度を高める原動力になったと考えている。ビジュアルやダンスなど独自のスタイル、そして文化が見えるようになり、若い世代がアジアの文化について学ぶ機会が増えている。
投資も重要な要素だ。K-POPはすぐには世界的に流行しなかったが、一貫した投資が結果として成功につながった。また、韓国国内の市場が大きくはないので、海外での成長を最優先に考えてきたこともあるだろう。
――近年は特に、SNSでの拡散を狙った楽曲が注目されすぎている感じもします。
難しい点だ。バズ、ミームから生まれた楽曲は一過性というか、儚いといえばいいのか、その多くはすぐに忘れ去られてしまう。
そうした楽曲の悪口を言いたいわけではない。アメリカ発のヒットにも、バズから人気を獲得した曲はたくさんある。ただし異なる文化圏の人々にとって、バズで突き抜けたものが、必ずしも「深いもの」ではないと感じられることはあるだろう。
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