J-POPの世界的ヒット"バズ狙い"は活路にならず ストリーミング時代に浸透した「SNS拡散」の功罪

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――近年はTikTokなどSNSの存在が、音楽の聴き方に変化をもたらしています。

Scott Ryan カリフォルニア州立大学チコ校でSocial Scienceを専攻。ニールセン、スポティファイ、エコー ネスト、グレースノートなどの新興音楽テクノロジー企業を渡り歩いてきた(記者撮影)

特にショート動画は、人々が最初に楽曲を耳にして「ストリーミングでフルバージョンを聴こう」というきっかけを提供している。

若い世代はTikTokやInstagram、YouTubeのショート動画を通じて音楽を聴く機会が増えた。ショート動画が話題になり、ストリーミングの再生回数が急増する現象は何度も起きている。

一方で、友人や家族の紹介、テレビ番組や映画、ライブツアー、音楽アワードの授賞式、チャートでの活躍なども変わらず重要だ。

昔ながらの口コミも大きな力を発揮している。アーティストが小さな会場で演奏して新たなファンを獲得し、そのファンがさらに多くの人々に紹介するという形だ。

SNS拡散狙いの功罪

――K-POPグループが欧米でヒットする例も増えています。

TikTokなどSNSの成長も、K-POPの認知度を高める原動力になったと考えている。ビジュアルやダンスなど独自のスタイル、そして文化が見えるようになり、若い世代がアジアの文化について学ぶ機会が増えている。

投資も重要な要素だ。K-POPはすぐには世界的に流行しなかったが、一貫した投資が結果として成功につながった。また、韓国国内の市場が大きくはないので、海外での成長を最優先に考えてきたこともあるだろう。

――近年は特に、SNSでの拡散を狙った楽曲が注目されすぎている感じもします。

難しい点だ。バズ、ミームから生まれた楽曲は一過性というか、儚いといえばいいのか、その多くはすぐに忘れ去られてしまう。

そうした楽曲の悪口を言いたいわけではない。アメリカ発のヒットにも、バズから人気を獲得した曲はたくさんある。ただし異なる文化圏の人々にとって、バズで突き抜けたものが、必ずしも「深いもの」ではないと感じられることはあるだろう。

次ページJ-POPが世界でヒットする可能性
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事