よみがえった女子プロゴルフ--アイドル続々登場 男子尻目に成功の好循環
38対25--。最近、「オシャレな選手が華やかに活躍する人気スポーツ」として、評判の女子プロゴルフ。その発展ぶりを物語るのがこの数値だが、さて、何だろうか。答えは2008年の予定試合数。女子38に対して男子25と、男性優勢のプロスポーツ界にあって珍しく女性が圧倒する。テレビCMに起用されるプロ選手の数も“女高男低”だ。
(週刊東洋経済1月26日号より)
とりわけ、一般の男子ゴルファーからの女子プロ人気は絶大。その秘密は「自らの非力さを見せつけられる男子プロの飛距離よりも、女子のほうが参考になる」とか、「プロスポーツ種目が圧倒的に少ない女子の中で、優秀なアスリートが集まりやすい」といった指摘もある。だが、現在の人気は偶然にもたらされたものではない。
一時は、試合数は低迷、スポンサー探しに苦労した日々があった。そこからよみがえった背景には、1999年から実施した日本女子プロゴルフ協会の組織改革がある。
会員組織をツアー選手中心の「トーナメント・プレーヤーズ部門」と、ティーチングプロなどを中心とする「ゴルフ・ビジネス部門」に分けて機動力を高めた。プロテスト合格者だけではなく、新たな出場資格や予選会制度を取り入れ、実力者がすぐ参戦できるように間口を広げた。アマチュアが試合に優勝したら、プロテストを受けなくともプロになれる道もつくった。
スポンサー企業各社からは、組織改革を断行し、トップ営業で苦境を乗り越えてきた樋口久子・日本女子プロゴルフ協会会長の手腕を評価する声が多い。試合前日に開催される「プロアマ大会がスポンサーにとって重要であることを選手に教育し、ファンサービスも徹底。選手の意識は昔と比べると雲泥の差」(川相貴由・伊藤園レディスゴルフトーナメント大会実行委員長)と指摘する。
ほかにも、選手の実力主義の徹底といった仕掛けもあった。だからこそスター選手が生まれ、50人のシード枠をめぐる戦いは熾烈を極める。その結果、「いい試合が増え、シード選手が年々若くなっている」(樋口久子会長)。まさに好循環である。
所属選手の活躍で抜群の宣伝効果も
改革による選手層の厚みは徐々に実現していった。河野久ブリヂストンスポーツ社長は振り返る。「まず不動裕理選手のガンバリがあった。そこへ宮里藍選手が登場。当時はゴルフ人口約1000万人のうち9割が男性、その半分が団塊世代だった。彼らにとって藍ちゃんは娘のような存在で、彼女を応援したくなる気持ちは自然の成り行きだった。しかも“藍ちゃん効果”で女性ゴルファーも増え、裾野が広がった」と話す。
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