過去最高値を更新「金価格」はどこまで上がるか? スポット価格は3000ドル目前、高騰続く背景
——かつてはドル金利が上がると金を売る(金が下がる)というセオリーがあったと思いますが、この昨今の金価格はセオリーとは違うような動きになっていますよね。
そうですね。以前は長期金利が上がるとゴールドが下がる、金利が下がるとゴールド上がるという反比例の関係が明らかにありました。ただ2〜3年ほど前から世界の中央銀行、特に新興国の中央銀行のドル離れの動きが非常に鮮明になっています。
とくにBRICSプラスです。中国、ロシアを代表とするアメリカと対立する国々がドルを持っていることがリスクになってしまった。
ロシアがウクライナに侵攻したときに、アメリカなどの国々は経済制裁としてロシアが持つドル資産を凍結した。そうすると他の国々も「ドルを持っていると危ない」ということになります。
そして彼らはどういう動きをしているかというと、ドル資産、つまりアメリカ国債を売って、その代わりにゴールドを買っているんです。実際、2022〜2024年の3年連続で中央銀行が年間1000トンを超える量のゴールドを買っています。
年間のゴールドの鉱山生産量はだいたい3600トン前後です。そのうちの30%を中央銀行が吸い込んでいる。彼らは買ってどうするかというと、金庫の中にしまっているわけです。
3600トンのうちの1000トンがマーケットの供給から減っているわけですから、当然、需給がタイトになりますよね。2022年以前はいくら多い年でも600トンがいいところだったのですが、そういった意味ではもうマーケットの構造、需給の構造が変わってしまった。
中央銀行にとって金利は関係ない
話は金利との関係に戻りますけれども、そうした形で金を買っている新興国の中央銀行にとって、金利は関係ないんです。
2007年にアメリカの長期金利が5%に上がったとき、ゴールドの価格は700ドルでした。ところが2023年に5%に上がったときには1900ドルを超えていたわけです。同じレベルの金利の上昇に対して、ゴールドは全然下がらなかった。
だから日々のトレーディングでは金の動きに反応しますけれども、長期的に見ると(セオリーとは)関係ない買いがゴールドに入っているということが言えると思います。
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