熱血教師と一線を画す「御上先生」、学校のリアルつまったドラマに教員も沸く訳 教育関係者だからこそ楽しめる制作の裏側
「なるべく教えない授業をやっていて、数学でグループワークを取り入れている。中間に他者評価を入れており、グループメンバーの意見を聞いて生徒自身が振り返りできるように、また後半で修正できるようにしている」
そんな先生たちの実践を聞いて返した西岡氏の視点も興味深かった。
「これまでの教育は、どう教えるか、どう助けてあげるか、という発想が強かった。例えば、今は参考書でも、カラーだったり図が入っていたりと充実しすぎている。それで学力が上がっているかというと、そういうわけでもない。学習者に必要なのは、充実ではなくて考える余白ではないのか。その余白をどうつくるか、どんな問いを出して余白をつくるのかが先生の役割になっているのではないだろうか」
どの問いもシンプルだが、さまざまな意見を通じて深まっていくのが実感できる時間だった。最後の、御上が働く進学校に紐づけて「あなたにとっての『エリート教育』とはどんな教育?」という問いは、参加者がグループになって議論をした。盛り上がったことは言うまでもない。

(写真:カルペ・ディエム)
「『御上先生』が議論を起こせるドラマになればいいな、と制作を手伝っている。ドラマで『中学の学習指導要領は難しい』という話が出てきたときには、『本当に難しいのか?』と放送後にSNSでかなり話題になった。どう学校の先生が受け止めてくれるのか……ワンシーン、ワンシーン、僕たちも考えている。先生1人ひとりにも考えてもらえたらと思っている」(西岡氏)
もちろん、単にエンタメとしてみるのもいいが、このイベントのように『御上先生』には学校だからこそ向き合える問いにあふれているように思う。幸い、まだ4話なので話に追いつくのも十分に可能だ。
実際に、対話の場をつくって学校現場で話してみるのも盛り上がるだろうし、毎日忙しい学校だからこそ先生にも「考えて」が必要かもしれない。『御上先生』でキーワードになっている「教育のリビルド」は大袈裟ではあっても、こうして日本の教育、また学校現場の課題についてみんなで考える時間は貴重であるに違いない。
(文:編集部 細川めぐみ、注記のない写真:©TBS)
東洋経済education × ICT編集部
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら