熱血教師と一線を画す「御上先生」、学校のリアルつまったドラマに教員も沸く訳 教育関係者だからこそ楽しめる制作の裏側

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今回のイベントでは、中山氏をモデレーターとして、西岡氏と7名の現役中学・高校教員が『御上先生』に紐づく8つの問いについて議論をした。

1. 生徒たちに「考えて」と言いたくなる実際の場面は?
2. 実際に「おススメの学び方」はありますか?
3. 「いついかなるときでも集中しなければならない仕事ばかりだよ」と生徒たちに言う?
4. 生徒の「べつに」から異なる言葉(本当の思い)を引き出す働きかけは?
5. 生徒たちがなんでも意見を言い合える授業は、どうすればできる?
6. 独自の教材だけを使うのはダメ?(学習指導要領義務違反)/中学校の学習指導要領は本当に難しい?
7. 学校のスローガンを生徒たちだけでなく教師たちも実行できている?
8. あなたにとっての「エリート教育」とはどんな教育?

 

問いが1つずつ提示され、7名の現役中学・高校教員が自身の学校や授業実践、学級経営などについて話していくスタイルだ。参加者が『御上先生』を最新話まで見ていることを前提に、時にドラマのシーンやセリフとも紐づけながら、会場にいる先生たちにもどんどん話を聞く。

まさに答えのない問いに向き合う、現在の学習指導要領で重視している探究学習を意識しているようだった。

「生徒たちに『考えて』と言いたくなる実際の場面は?」では、「掃除の時間に、集めたゴミをどうすればいいか? と聞いてくる生徒がいて『考えて』と言いましたね」と話す先生がいた。

会場の笑いを誘っていたが、「考えたらわかること、わかったとしても指示がほしいのだろうと。少子高齢化ということもあって、“大人から言われたことを受け止める時代”に育ってきた子らしい。でも、それは思考が止まっているということ。『考えて』はその警告にもなる」と言って、西岡氏はさらに続けた。

「教えるのが先生、という時代は終わりに近づいている。先生が答えを持っているものしか教えてはいけないというのも窮屈に感じる。そもそもVUCAの時代には、答えのないものが多く、自分で考える習慣を持ってもらうことは重要だ。問いを分解して、思考を深めていけば答えが出るかもしれない。いろいろな『考えて』の使い方があるが、思考をアクティブにする『考えて』をさまざまな学校で使ってほしいですね」

※Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの頭文字を取った造語で、変化が早くて不確実性が高く、複雑かつあいまいで将来の予測が困難な状態のこと

学習者に必要なのは支援ではなく「余白」?!

ドラマでは、「思い出す」プロセスを取り入れることで記憶を定着させるアクティブリコールという勉強法が出てきた。それに紐づく「実際に『おススメの学び方』はありますか?」という問いでは、これまでの学校の授業スタイルが徐々に変わってきていることも感じられた。

「学んでいる、と思わせないことが大切。教えない授業をリフレーミングさせて、例えば『資本主義と社会主義の違い』について小さい子でもわかるように紙に書いて説明して、と雑に投げる。子どもたちが主体的、能動的に取り組めるよう意識している」

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