熱血教師と一線を画す「御上先生」、学校のリアルつまったドラマに教員も沸く訳 教育関係者だからこそ楽しめる制作の裏側

(写真:©TBS)
さすがにドラマなので「大袈裟では」と思うところがないわけではないが、実際の学校教育のトレンドや現場でも議論のポイントになるような話を随所で入れてくる。
それもそのはずだ。『御上先生』の学校教育監修として工藤勇一氏が入っている。千代田区立麹町中学校、私立横浜創英高等学校の元校長で教育業界に身をおく人ならば、知らない人はいないだろう。その工藤氏が、ドラマがスタートする前に松坂桃李さん含む制作スタッフ陣に対して、日本の教育をテーマに50分の授業も行ったという。
授業の詳細まで工藤氏は語らなかったものの、今月都内で開催された関連イベントでは日本の教育についてこう話していた。
「日本の子どもたちは過度に手がかけられていて、学びは与えてもらうものだと思っている。与えられることに慣れすぎてしまい、何かあったときに人のせいにする子が増えている。そんなふうに当事者意識がなくなってしまったのは、学校教育に責任がある。自己決定をせずに、与えられながら育ってきた子どもたちに主体性が育つはずがない……」
ドラマでキーワードとなっている「考えて」は、まさに当事者意識を促す言葉なのだろう。

(写真:カルペ・ディエム提供)
これまで工藤氏は、宿題廃止や定期テスト廃止、固定担任制廃止など大胆な改革を在籍校で断行してきた。「大逆転教育再生ストーリー」と銘打つ『御上先生』でも、同じく教育改革が繰り広げられるのか……。
工藤氏はドラマの今後について聞かれると、「学校教育は社会を変える。その力となるのは教員1人ひとりの力。御上先生は1人の力で始めるがきっと周りを巻き込んでいく。これから子どもの変化、先生の変化を楽しめるはず」と語った。
どれだけの学校関係者がこのドラマを見ているのか?
この作品をディテール含めて楽しめるのは、教員をはじめとする学校関係者だけなのでは? と思うほどの細かな作り込みだが、実際にどれだけの学校関係者がこのドラマを見ているのか。
今月開催された「全国各地の現役中学・高校教員はドラマをどう見ている? 〜御上先生 vs 現場の先生〜」というイベントを訪れて驚いた。約60席ほどある会場が満席で、全国から教員をはじめとする学校関係者が集まって熱気にあふれていた。

(写真:カルペ・ディエム)
主催したのは教育支援企業、カルペ・ディエム。代表の西岡壱誠氏は『ドラゴン桜』で脚本監修を担当した経験があり、『御上先生』でも環太平洋大学特命教授の中山芳一氏とともに教育監修を務めている。