石破政権では日本経済が悪夢に陥る懸念がある 「曖昧な地方創生」で国益よりも既得権益を重視

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邪推かもしれないが、税金に依存する官僚組織や既得権益のほうが、石破首相にとって重要なのかもしれない。トランプ政権は、政府効率化省(DOGE)を創設することで、肥大化しているという認識のもと、公的部門の役割を見直す対応を行っている。これと同時に減税政策の実現を目指しているわけだが、石破政権はトランプ政権の政策姿勢を見習う余地があるだろう。

金融市場の警告を無視するなら日本経済の停滞が続く

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石破政権は、「地方創生」を重視している。具体的な政策は曖昧であり、地方政府への税金を通じた所得移転が実現する見込みである。日本国全体の国益よりも、自らの権益者への配慮が優先されるのは時代錯誤としか言いようがないが、それを後押しする政策が実現しつつあるわけだ。それゆえに、減税を求める多くの日本国民の声が届かないのだろうか。

日本経済がデフレに戻るリスクは限定的と、筆者は現時点で考えている。ただ、既得権益への配慮に政治家が注力する一方で、保守的な経済官僚が金融財政政策の主導権を握れば、1990年代半ば以降のように再び日本経済が停滞するシナリオは十分ありうる。

石破首相らのこれまでの発言を踏まえると、悪夢の展開を懸念せざるをえないわけだが、経済成長停滞が続けば、トランプ政権から今後強まるだろう、さまざまな負担の要求に対応することは難しくなる。

2025年になって、欧州株が大きく上昇する一方で、日本株市場は年初からやや下げた水準で停滞している。日米首脳会談は成功して、石破首相らは安堵しているのかもしれない。ただ、最近の金融市場のシグナルを、石破政権を支える政治家が軽視し続けるなら、日本経済の停滞は2025年も続くだろう。昨年の夏場からレンジが続く日本株市場が再び高値に向けてトライするのは難しい、と筆者は予想している。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

村上 尚己 エコノミスト

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むらかみ なおき / Naoki Murakami

アセットマネジメントOne株式会社 シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、外資証券、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。

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