細るパナソニック「聖域解体」で狙う最高益の意義 間接部門で早期退職、家電開発は中国へシフト

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テレビ以外にも、工場向けの製品が主体の産業デバイス事業、電子部品を生産するメカトロニクス事業、炊飯ジャーや食洗機を手がけるキッチンアプライアンス事業が「課題事業」だと名指しされた。これから撤退か売却かを検討していく、これら4事業の合計売上高は9000億円に上る。

そしてエアコンやヒートポンプ暖房などの空質空調事業、家電事業とハウジングソリューションズ事業を「再建事業」に指定した。これは今回新たに発表されたカテゴリーで「事業立地を見極める」とパナソニックは説明している。

立地の見極めとは具体的にどういうことか。最もわかりやすいのが家電の例だ。今回の発表内容では「事業会社のパナソニックを解体する」という側面がクローズアップされた。

これは白物家電中心のくらしアプライアンス、空質空調、電設資材のエレクトリックワークスなど5つある分社を再編し、HD直下の事業会社を3社新設するというもの。

ただ、こうした組織の見直し以上に波紋を呼びそうなのが、家電事業の営業と開発体制の見直しだ。

説明会で楠見社長は「日中連携によって(家電の)量産開発を中国にシフトして、それに伴う日本の量産開発リソースの適正化を進める」と発言。家電部門では、これまでも生産拠点の海外移転や、部品コストの引き下げを進めてきている。すでに電子レンジや冷蔵庫の一部のモデルで大幅なコスト削減に成功しており、開発体制の変更でさらにコスト構造を見直す考えだ。

指定価格制度に続き直販を拡大

販売面での影響も広がりそうだ。今後の国内のマーケティングについては「DTC(直販)の拡大に合わせた体制に変革を進める」(楠見社長)と説明したからだ。

パナソニックは2020年から在庫リスクを負う代わりに量販店側で値引きができなくなる指定価格制度を導入。大物家電を中心に過度な値下げを防ごうという取り組みを続けてきた。

足元ではインフレなどの影響もあって、白物家電の需要そのものが落ち込んでいる。家電量販店に対してメーカーが支払う販売促進費について「以前よりも負担が増している」(中堅家電メーカー)との声も漏れる。

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