清水建設「建築事業立て直し」を託された次期社長 利益率改善のカギは「受注時採算の確保」

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市場の期待感は、高値圏にある株価に表れている。昨年11月、2025年3月期の営業利益を410億円から560億円へと上方修正したことに加え、増配や自己株買い、政策保有株残高の縮減目標などの発表が好感された。

ただ、稼ぐ力ではライバルと差がある。上場するスーパーゼネコンの前期の営業利益率は、鹿島5.1%、大林組3.4%、大成建設1.5%。それに対して清水建設はマイナス1.2%だった。今期は3%に回復する見込みだが、それでも4社の中でいちばん低い。

新村氏は主力の建築事業の立て直しに加え、新たな収益源の開拓も求められる。井上社長時代に参入した洋上風力工事向けの大型SEP(自己昇降式作業)船運用ビジネスなどを伸ばせるかが注目だ。

清水建設の新村氏
新村 達也(しんむら・たつや)/1961年生まれ。1984年早大理工学部建築学科卒、清水建設入社。2010年北陸支店建築部長、2017年執行役員、2021年常務執行役員。2023年専務執行役員、2024年副社長、2025年4月1日社長に就任予定(撮影:尾形文繁)

中計最終年度の2027年3月期には、営業利益を1000億円に引き上げることなどを目標に掲げる。新村氏は「きちんとした結果を出せると確信している。油断は禁物なので引き締めながら取り組んでいく」と意気込む。

宮本会長の相談役就任に業界は注目

社長交代とは別に、建設業界が注目したのは同社会長の宮本洋一氏(77)が相談役に退くことだ。

宮本氏は2021年度から、建設分野を代表する業界団体「日本建設業連合会」(日建連)の会長を務めており、昨年12月の理事会で再任が内定した。今年5月に正式決定される予定で、任期は2027年春までとなる。

実はこれまで日建連のトップを務めたのは、ゼネコンの会長・社長しかいない。日建連は「とくに必要があると認められる場合のため、定款上は問題ない」と説明する。一方で、日建連会長は業界の「顔」でもあり、今後の会長人事に影響があるのか気になるところだ。

具志堅 聡 東洋経済 記者

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ぐしかた さとし / Satoshi Gushikata

大分市出身。西日本新聞社やLINEヤフーを経て、2025年1月に東洋経済新報社入社。現在は建設業界を担当。

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