管理費込で「2万7千円」西成ハウスの"壊れた日々" 排水、トイレ、揚げ句の果てには鍵まで…

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

なんか申し訳ないので、食べ物とかを買って帰る。

非常に面倒くさいのだが、なんとか我慢していた。ただ、ドン・キホーテは朝5時~朝9時まで休業するのだ。

中年ど真ん中のペットボトルチャレンジ

目が覚めてトイレに行けないのはつらすぎる。ある日、どうしても耐えられなくて、ペットボトルにジョボジョボとオシッコをした。中年ど真ん中のオッサンのペットボトルチャレンジはさすがに悲しいものがあった。

にっぽんダークサイド見聞録 (わたしの旅ブックス)
『にっぽんダークサイド見聞録 (わたしの旅ブックス)』(産業編集センター)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

そして、そのオシッコをどうしようか迷ったが、さすがにゴミ捨て場に捨てるのも躊躇してしまい、結局カバンに入れて東京まで持ち帰った。

そして2024年年末。かなり最悪の事態になってしまった。

いつも通り、家に戻ると鍵を入れても回らなくなってしまったのだ。どれだけ力を入れてねじっても回らない。鍵を変えられてしまったのか? と思ったがそんな様子はない。

しかたなく不動産屋に電話するが、その日は対応できず、仕方なく近くのネットカフェで寝る。

翌日、にっこり笑顔のベトナム人が現れた。両手に包丁を持っている!! どういうこと? 面倒くさくなって、始末しにきた?

と思ったら、ドアの隙間に包丁を入れてガンガンと何度もシリンダーに当てた。

ガチャリ、

と鍵は開いた。

開いた安心感よりも、こんな簡単に鍵が開くんだというビックリのが大きかった。

管理人はにこやかに帰っていった。

中から鍵をかけるぶんにはいいのだが、外から鍵をかけると開けられなくなってしまうかもしれない。だから、それからは外出するときは、鍵をかけずに過ごしていたのだ。

さすがに鍵のかからない部屋に貴重品を置いておくことはできず、荷物を置いておけない部屋は不便すぎるので、1月いっぱいで解約した。

しかし大阪に家があるのはとても便利だった。今度は一軒家買ってみようかな? とか思って物件を探している最中だ。

【もっと読む】西成「家賃2万7千円」ほぼ廃墟ハウスに住んだ結果 住人はほぼベトナム人、そこで見た驚きの光景 では、2万7千円ハウスでの日々について、村田らむさんが詳しくお伝えしている。
村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事