栗山英樹氏が円覚寺派管長に語った「運の招き方」 王貞治さんから教わる「ものの見方」や「生き方」

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栗山:本当ですね。親父はとても野球が好きな人で、僕はよく親父がつくった作品だと周りの人たちに言われていました。ものすごく厳しかったですし、しょっちゅう怒られていたんですけれど、それは僕だけじゃなくて誰だろうとダメなものはダメだと叱る人でした。それが子どものときはあまりにも嫌すぎて、その影響で僕自身は人に対して怒ったりしないんです。でも、今振り返ると、厳しい父親に育てられてよかったとすごく感謝しています。

僕は今年(2024年)からファイターズに戻って、2軍の選手を茶髪禁止にしたんですよ。時代に逆行していると批判を受けましたけれど、やっぱり最低限のルールを守るべきだと考えたんです。

横田:思い切った決断ですね。

栗山:これも親父の影響が大きいんです。小学3、4年生の頃に髪の毛を伸ばしたくて、坊主じゃなくてスポーツ刈りにしたことがありました。ところが、仕事から帰ってきた親父がそれを見るやいなや首根っこをつかまれて、もう1回床屋に連れて行かれて坊主にさせられました。

そのときに、「お前は養われているんだ。自分で金稼げるようになったら好きにしろ。それまでは言うことを聞け」と言われたんです。それが教育としていいか悪いかは別の問題として、そのことを思い出したとき、「ああ、これは原理原則だな」って改めて思いました。

聞いた話ですが、ある会社では接客担当者が茶髪になりすぎないように、使っていいヘアカラーの番号が決まっているそうです。我々も同じで、1軍選手は稼げているからいいけれど、2軍選手は稼げるようになるまではしっかり生活のけじめをつけてルールを守ろうということですね。我々はファンの人たちのお金で生活できているので、そうすることが応援してくれるファンの方たちへの誠意だろうと思ったんです。

横田:なるほど。今はなんでも個人の自由が尊重される風潮がありますが、その考え方は個々の成長を促すためにも重要ですね。

王貞治さんから教わった「生き方」

栗山:僕はWBCで「89」という背番号をつけさせてもらいました。これは第1回大会の監督を務められた王貞治さんがつけていた番号です。これまで歴代の代表監督は全員違う番号をつけていましたが、僕にとって神様のような存在である王さんの番号、しかも「野球」の「89」なので、この原点の背番号をぜひ使わせてもらいたいと思いました。それで王さんに連絡させてもらったら、快諾してくださったんです。

僕は大会に臨むに当たって、スポーツ界の名将と呼ばれる方に10名くらい順次お会いしてお話を伺いました。その最後に訪ねていったのが王さんでした。

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