旧安倍派会計責任者の「参考人招致」攻防の裏側 51年ぶり異例の議決決着の背景に"公明離反"も

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そこで問題となるのは松本氏の国会招致が実現しなかった場合の、野党側の対応だ。強制力がない参考人招致に対し、証人喚問は「証人を強制的に国会に出頭させ、証言を求める制度で、証人は正当な理由なく出頭を拒否したり、嘘の証言をすれば、議院証言法で刑事罰に問われる可能性がある」(衆院事務局)とされる。ただ、刑事訴追のおそれを理由に証言を拒否することも可能で、国会関係者の間でも「証言拒否が可能な証人喚問より、参考人招致の方が、真実に迫れる」(同)との見方も少なくないのが実態だ。

そうした状況を踏まえ、31日にスタートした衆院予算委基本的質疑では、まず質問に立った自民党の小野寺五典政調会長らが、口を揃えて30日の参考人招致議決を「極めて遺憾な事態」と安住委員長や野党側の対応を批判。これに対し午後に質問に立った長妻昭・立憲民主代表代行は「相当な的外れ。どの口が言うのか」などと猛反発するなど、与野党攻防が収まる気配はない。

問われる石破・斉藤両氏の「盟友関係」の“真価”

これに対し、石破首相ら与党最高幹部は「熟議の国会は国民の意思も踏まえたもので、野党の政治的駆け引きで予算成立が遅れて経済にも影響が出れば、野党が責任を問われる」(自民執行部)と野党側を強く牽制する構え。

ただ、今回の「異例の議決劇」で自民と公明の対応が食い違ったことについて、自民党内からは「改めて、石破首相と斉藤代表の間で自公の連携強化を確認すべきだ」(国対幹部)との声も多く、今後は「かねて揃ってアピールしてきた石破、斉藤両氏の『盟友関係』の“真価”が厳しく問われる」(政治ジャーナリスト)ことは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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