東京女子医大、"女帝"が残した「負の遺産」の実態 「女カルロス・ゴーン」が引き起こした機能不全

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「障壁になったのは女子医大の安い給与。岩本理事長に直談判して、一般病院並みの報酬を約束してもらった」(元女子医大関係者)

小児集中治療室の解体

カナダから帰国した医師は特任教授に就き、2021年7月、専門医6人体制でPICUがスタートした。しかし、岩本元理事長からすぐに手のひら返しを受ける。

「PICUは診療実績を積み上げると高い診療報酬が得られるが、最低でも1年間の実績は必要だと説明していた。だが経営陣は4カ月の時点で、採算が合わないと言い出した。約束された特任教授の報酬も減額されてしまった」(同)

さらに特任教授は契約を更新しない旨を通告され、6人の医師全員が退職を決めた。最終的に、わずか8カ月でPICUは解体されてしまったのである。

経営陣の場当たり的なPICUへの対応を批判した集中治療室(ICU)の医師にも、強権が発動される。ICU医師の降格や、責任者の減給など、不可解な理由で処分を連発したのだ。これに対して、ICU医師10人中9人が抗議の意を示して退職。ICUも機能不全に陥ってしまう。

女子医大は臓器移植に強い大学病院として定評がある。とくに脳死の臓器移植では、心臓、肝臓、膵臓(すいぞう)、腎臓に対応できる数少ない施設として認定されている。

「臓器移植は、手術後のICUでの管理が生着率(成功率)に大きく影響する。脳死移植の施設基準として、ICUが絶対条件になっている」(女子医大・外科医)

さらに脳外科、循環器外科、消化器外科など、高度な手術にもICUは必要不可欠だ。

重要部門のスタッフを追い出した大学経営陣に、有志の教授ら7人が連名で説明を要求した。だが経営陣は「対応に問題はない」と強弁するばかりだった。

2024年7月、文部科学省に申し入れをした有志の教授ら(写真:岩澤倫彦事務所)
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