東京女子医大、"女帝"が残した「負の遺産」の実態 「女カルロス・ゴーン」が引き起こした機能不全
岩本元理事長には人的資源の重要性がまったく理解できていなかった。理事長に就任する前の2018年度と2024年度を比較すると、新宿にある付属病院(本院)だけで、医師と看護師がそれぞれ約200人も減少。これを以前のレベルに回復するのは容易ではない。
今回の不正発覚によって、国から受け取る私学助成金は「保留」になっている。2023年度は20億円だったが、2024年度はゼロ、翌年以降も大幅な減額になるのは避けられない。不祥事が多発した日本大学は3年連続でゼロになった。
昨年、岩本理事長が解任され、理事と監事、評議員が一新された。理事長には元大蔵官僚の清水治氏、学長には女子医大に36年間在籍した元教授の山中寿氏が就任した。
カギを握るICUの再建
女子医大の再生で、最大のカギを握るのはICUの再建だ。取材に対して、山中学長は退職したICU医師らに「岩本元理事長らによる非礼を謝罪」したうえで、三顧の礼を尽くし、復職を依頼する考えを明かした。
岩本元理事長の不正が明るみに出た契機は、2人の職員の内部告発だった。2022年に女子医大は「情報漏洩」を理由に2人を懲戒解雇処分にした。さらに身分回復を求めて東京地裁に提訴した2人に対して損害賠償を求めて反訴し、現在も法廷での争いを継続中だ。
この対応を見ると、岩本元理事長による「負の遺産」が今も女子医大に残っていると言わざるをえない。こうしたウミを出さなければ、女子医大に対する不信感は、いつまでもくすぶり続けるだろう。
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