衰退から全盛期へ「ラジオ」が人々に愛される事情 「リスナー参加型」のイベント開催に見出す未来

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世の中が寝静まった深夜25時に、わざわざ集まってくるというだけで、秘密めいた“仲間”のような感覚が生まれますし、何が起きるかわからない展開を一緒に体感したいというワクワク感もあります。

ラジコのタイムフリー機能によって、オールナイトニッポンは「いつでも聴ける」コンテンツになりました。ただ、その“初出”の瞬間を一緒に体験したいというリスナー心理に応えるのが生放送です。

ですので、作り手である番組スタッフたちは毎日毎晩、「その日じゃないと聴けない放送を届けよう」という気持ちで作っています。

そして、最近あらためて再認識しているのは、オールナイトニッポンは実はものすごいリッチコンテンツなのではないかということです。

旬のミュージシャンやお笑い芸人の方が1時間、2時間ぶっ通しで、しかも生で、しかも毎週、しゃべり続けるコンテンツなんて他にはありません。YouTubeやインスタライブではまず実現しにくいと思います。

逆に、「いつでもどこでも視聴可能」が基本設計となっているYouTubeに慣れている今の10代、20代にとっては、「深夜の長時間生放送」というスタイルが新鮮に映るようです。

わざわざ聴きに来るという「価値」

オールナイトニッポンの放送内容のメインはトーク。

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パーソナリティの本業の話はもちろんのこと、本業以外のパーソナルな素顔や趣味など、よりその人の内面に向かったトークが繰り広げられる世界です。

だからこそ「ここでしか聴けない話」が詰まっていて、放送後に話題になる。結果、放送から何時間も経ってからタイムフリーで聴きに来るリスナーが多いのです。

オールナイトニッポンは、生放送と比べてタイムフリーのほうが5〜7倍近く聴かれていることからも、流しっぱなしにするのではなく「わざわざ聴きに来る価値」を感じてくださっているのだと受け止めています。

この価値を理解し、伝えていったことで、リスナーやスポンサーの方々にも、もう一度振り向いていただけるようになったのだと思います。

冨山 雄一 ニッポン放送「オールナイトニッポン」統括プロデューサー

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とみやまゆういち / Yuichi Tomiyama

1982年1月28日生まれ、東京都墨田区出身。法政大学卒業後、2004年NHKに入局、2007年ニッポン放送へ。オールナイトニッポンではディレクターとして岡野昭仁、小栗旬、AKB48、山下健二郎などの番組を担当。イベント部門を経て、2018年4月から 「オールナイトニッポン」のプロデューサーを務めている。現在は、コンテンツプロデュースルームのルーム長としてニッポン放送の番組制作を統括している。

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