「狭くて深い」のがラジオのコミュニティの魅力だと書きましたが、それだけを追求していると内輪に向いて、新しいリスナーが入り込めなくなってしまいます。
その点はかなり意識していて、番組作りにおいてもディレクターから各パーソナリティに、「自分を初めて知る人が聴いているかもしれないと思って、ちゃんと丁寧に説明していきましょう」と、お願いしています。
AKB48や乃木坂46のような人数が多いアイドルグループが、スタジオにいないメンバーのことを話題にするときに、コアファンだけがわかる愛称で呼ぶのではなく、ちゃんとフルネームで紹介してほしいと話しています。細かい部分ではありますが、ちょっとしたことにリスナーは敏感に反応し、「自分にはついていけない」と拒否反応を示してしまいます。
毎回聴いてくれているコアファンを喜ばせることも大事にしつつ、初めて聴くライトリスナーも歓迎する。ほどよいさじ加減を目指しています。
オールナイトニッポンを放送している深夜帯には、全国でその時間を何かしらの理由で起きていて聴いている人がいます。それは長距離移動をされているトラックの運転手の方かもしれませんし、新聞配達の準備をしている方や朝の仕込み中のパン屋さんかもしれません。
熱心な番組リスナー以外にも、耳を傾けてくれる人がいるからこそ、番組は初めて聴いた人にも入りやすい必要があると思っています。
オールナイトニッポンは、そのパーソナリティのファンの方だけではなく、いわゆる深夜放送を楽しみにしているラジオリスナーもいるので、元々のファンの人に加えて、そういった深夜放送のリスナーの人たちを巻き込むことができると、自転車の2つの車輪が回りだすように、番組の輪が大きくなっていくような気がします。
たとえば、女性から圧倒的な支持を集める男性パーソナリティが、だんだんと男性リスナー(特にハガキ職人と呼ばれるリスナー)からのメールが増え、ちょっと男友だち同士のノリに近いものが出てくるとよい傾向だったりします。
聴取属性が番組開始当初は女性中心だったのが、だんだん男性の割合が増え、男性からも女性からも大きな支持を集めて、人気番組になるケースが多いです。
深夜ラジオの生放送とポッドキャスト
21世紀に登場した新しい音声コンテンツが「ポッドキャスト」です。
Spotifyなどのプラットフォームでは、さまざまな人、さまざまなテーマによるコンテンツがいつでも無料で聴ける時代になりました。
そんな音声コンテンツ全盛時代ともいえる今、オールナイトニッポンの価値とは何かといえば、やはり生放送ならではのドキドキ感、そして、その時間にリアルタイムで立ち会うリスナーの皆さんと共につくる一体感だと思います。
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