衰退から全盛期へ「ラジオ」が人々に愛される事情 「リスナー参加型」のイベント開催に見出す未来

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ラジオ番組のイベントといえば、「ニッポン放送の地下2階のイマジンスタジオで開催する公開収録に、100人を無料招待します!」というパターンが通例でしたが、トップアーティストが何年も前から押さえるような大会場で、しっかりとチケット代金もいただいて、凝った企画をこれでもかと投入する。

そんな新しい挑戦を喜んでくれるリスナーは、想像をはるかに超えて多かったのです。

僕がニッポン放送に入社した2007年には、まさか1つの番組のイベントが東京ドームで5万3000人集め、ライブビューイングを合わせて全国16万人も動員するなんて、想像もしませんでした。

たくさんのリスナーが喜び集まってくれると、自然と応援してくれるスポンサーも増えていきます。イベント会場での協賛ブースやスポンサーからのお土産が詰まった紙袋を渡すことなど、周辺の状況もどんどん充実していきました。

方針に沿う形で、佐久間宣行さんは1年目で下北沢の本多劇場で、CreepyNutsも2年目で中野サンプラザでのイベントが実現しました。

イベントで可視化される「静かな熱狂」

もちろん、イベントの企画や準備にはかなり手間がかかりますが、大きなメリットとして「リスナーの盛り上がりが可視化される」という効果があります。

名だたる会場でイベントが盛り上がっている様子が写った写真がSNSで流れたり、シェアされたりすることで、また、イベント前後の反響が話題になったりすることで、リスナーの熱が伝播していくのです。

「盛り上がりの可視化」は、ライトリスナーをコアリスナーに変えるきっかけになります。

ラジオを聴いたことがない人にオールナイトニッポンを知ってもらうためのイベントだったら、全然違うものができあがるはずです。

しかし、目指すべきは番組を楽しみに聴いてくれるリスナー、応援してくれているリスナーの期待に応え、驚かせて、喜ばせることです。

1億人に訴えるのではなく、100万人に訴えるのでもなく、すでにつながっている1万人にもっと好きになってもらう。

すでに熱を持っている人の熱をもっと高めるほうが、実は新しいリスナーを増やすことにもつながるのです。温度の低い1人を温めるより、すでに温まっている人の熱を高めて「静かな熱狂」を生み出すほうがいい。

なぜなら、人は圧倒的に「静かな熱狂」に引き寄せられるからです。イベントで目に見えるカタチになると「なんだろう? ずいぶん楽しそうだな」と熱に吸い寄せられてくる人がだんだんと集まってくる。

この熱を高めていく過程そのものも、リスナーと一緒になって作り上げていくのが正解なのだと確信しています。

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