会計士が指南「なぜか赤字になる会社」の根本原因 数字に強い社長が必ず学んでいる学問は?

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逆にいえば、簿記についてまったく理解していないと、決算書を見たところで問題の本質に気づくことができず、正しい経営判断ができなくなる可能性もあります。経営を続けていく限り、簿記と無縁ではいられないのです。

簿記がわかると、倒産の可能性が下がる!?

日本企業の約7割、つまり大多数は赤字という状態ですが、その大きな原因の1つは、経営者が簿記のしくみや会社の数字を理解していないことにあります。

赤字ということは、1年間会社が活動した結果、損をした、つまりお金が減ってしまったということです。

残り3割の黒字企業でも、一生懸命に会社を回しているのに、なぜかいつもお金が足りない、何か起きたら仕入代金が支払えなくなる、そんな状態になっている企業がたくさんあります。

企業経営とは、売上さえつくっていればよいという、カンタンなものではありません。

売上が億を超えていようと、数字の知識がないことだけで会社は倒産してしまうので、簿記や財務の知識は必ずもっておくようにしましょう。

数字を見て、会社の財務状況を把握していないということは、いつ倒産してもおかしくないほどのリスクを抱えているといってよいぐらいです。

繰り返しますが、簿記の知識があるかないかだけで、会社が生き残れるか倒産するかが決まってしまう可能性があるとしたら、いま、学ばない理由はないですよね?

私の体感では、9割くらいの中小企業は、資金繰りがうまくいっていません。そして、多くの経営者が「売上がもう少し増えたらラクになる」と思っています。

年商が増えたら、本当に資金繰りがラクになるのでしょうか。

たとえば年商5000万円の会社の経営者は、売上が1億円になれば資金繰りがラクになる、と思っています。年商1億円の会社の経営者はどうかというと、年商3億円になれば、と考えています。では、年商3億円の会社の経営者は? 一緒です! 売上の規模はまったく関係ありません。数字に弱い経営者は、つねに資金繰りで苦しんでいます。

なぜそうなるのか。身近な例に置き換えるとわかりやすいかもしれません。たとえば、月給20万円の人は、収入があと5万円増えたら、生活がラクになると思っています。

では、月給25万円の人はどうかというと、やはりあと5万円収入が増えれば、と思っています。でも、収入が増えれば増えた分、何かと出ていくお金も増えるので、いっこうにラクになりません。

月給20万円の人でも、お金を貯められる人は貯めることができますが、月給100万円になっても、お金を貯められない人は、いっこうに貯められません。

会社も同じです。入ってくる額を増やしても、残る額が増えるわけではありません。「売上を上げる技術」と「お金を残す技術」は別物だからです。

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