セブン「高級路線で客離れ」に見る大苦戦の真因 消費者視点が薄れ、「上から目線」な企業に…?

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さらに、客数の増加と客単価の減少という「薄利多売」モデルは、人口減少が続く日本で長期的に見て有効なのかどうか、という点も気に掛かる。

さらに指摘しておくべきは、「うれしい値!」に先駆けてはじまった「エコだ値」の効果が、業績を大きく回復させるほどの貢献はしていない、ということだ。

既存店売り上げで見れば、同取り組みがはじまった2024年5月以降、セブン-イレブンの売上高はわずかに減少傾向が続いていた。

その理由を1つに断定することはできないが、私はこの取り組みについて、「消費者目線」から見た違和感を抱いてしまう。というのも、「エコだ値」は、ネーミング的にセブン-イレブンが思う「エコ」を私たち消費者に押し付けている感じが否めないからだ。

端的に言って、なんだか上から目線なのだ。もちろん、それがエコなのは間違いないのだが、客としてはどこかセブン-イレブンの言う「エコ」に巻き込まれている、と思ってしまう。もっと言えば「で、結局その商品を売って儲けたいんでしょう?」とうがってしまう。

これは「うれしい値!」でも同じだ。しかもこちらは「!」まで付けている。圧が強い。

これは筆者の体験だが、友人とセブンで「うれしい値!」の商品を見たとき、「安くないよね?」と言われた。私自身はそこそこ安いのでは?と思っていたから「お、おう……」としか返答できなかったのだが、このときに気が付いた。

本来、商品が高いか安いか、その値段がうれしいかそうでないかを決めるのは、私たち消費者なのだ。それは店側が決めるものではない。つまり、「うれしい値!」とセブン-イレブンが言うのは、店側の思いを顧客に押し付けているに過ぎないのではないか?

チラシ
「うれしい値!」商品のラインナップ。高品質な商品を、オトクな価格で届けるという圧を
感じる(筆者撮影)

実際、ネットで検索してみれば「うれしい値!」の予測変換として「うれしい値 高い」なんて候補が出てくるぐらいだし、ニュースへのコメントを見ても「でも、結局スーパーとかのほうが安いしな」なんてコメントも、わんさかある。

この話をした時、別の友人は「自分は、弁当だけじゃお腹が膨れないので追加でカップデリを買うんですが、そうなると1000円近くなるんです。弁当だけでお腹が膨れて、他に買わずに済むのが、自分にとっての『うれしい値!』なんですけどね」と話していた。これは今のセブンに対して、少なくない人が抱いている感想ではないだろうか。

いくら「セブン」が「うれしい値」と思っても、それが「高い」「うれしくない」と思われてしまったら、それは感情の押し付けにしかならない。これはビジネスの大原則だが、企業が提供する商品やサービスをどう感じるかは、企業ではなく消費者が決めることなのだ。

セブン-イレブンには「消費者の目線」が足りていない?

この点、ファミリーマートはセブン-イレブンと同じような値下げ政策を行っているが、より顧客の心情に寄り添っていると思う。

ファミリーマートでは2024年10月から11月までの4週間、東京都と神奈川の一部店舗で食品ロスの軽減のための値引き政策の実証実験を行った。

廃棄が近い商品に貼るステッカーに、値引き額の表示と共に、おにぎりのキャラクターが「たすけてください」と涙目で訴えるイラストを付けたのだ。

ちなみに、このキャラクターがなんともいえないかわいさで、こんな目で訴えられたら、つい手に取ってしまいそうになる。

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