人民元をSDRに組み入れることは望ましい 国際的な不均衡拡大を抑制する効果

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中国人民銀行は毎日人民元の為替レートの基準値を発表し、一日の市場での為替レートの変動幅を基準値の上下2%以内に変動を抑えるようにしている。10日時点では市場のレートは1ドルが6.2091元で、基準値の6.1162元を1.5%程度下回っていた。

新しい基準値は前日の終値を参考に決定されることになっており、人民元が下落したのはこれまであった乖離がなくなったことが主因で、基準レート決定方法の透明性は増したという評価もできる。

「介入なしなら元高」とはならない

米国では中国政府の為替操作により人民元のレートが実勢よりも不当に低く抑えられており、このために米国の対中国貿易赤字が巨大なものになっているという不満がある。米国大統領選挙における複数の共和党候補が中国の問題には強硬な姿勢を示しており、今後争点の一つになるかも知れない。中国経済が減速しているので、人民元を切り下げて輸出の拡大をねらった、という日本国内の反応も、こうした見方を反映したものと言えるだろう。

中国が人民元の為替レートをコントロールしているのは事実だ。9月初めにトルコで開催されたG20の声明では人民元を念頭に、「根底にあるファンダメンタルズを反映するように、より柔軟で市場実勢で決まる為替レートシステムを目指し、為替レートがあるべき水準から長期に渡ってかい離しないようにすることを目指す」というコミットメントを確認し、為替市場への介入を縮小することを求めている。

しかし現状は、中国が人民元の為替レートを市場で決まる水準よりも著しく低く抑え込んでいるとは言い難い状況だ。今回の人民元の基準値変更前は中国政府が基準値を実勢よりも常に高めに設定しており、市場の人民元レートは変動許容幅の下限近くに張り付いていた。

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