ホンダ電動化の幕開け、BEV「N-VAN e:」に期待 ガソリン車オーナーとして進化に注目したい

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加えて、電池の生産コストも、2020年代後半で25%、2040年代までには40%それぞれ低減する予定。ほかにも、全固体電池は液体リチウムイオン電池と比べ、可燃性ガス放出が少ないことで車両火災のリスクが低く、安全性も向上。80度など高温でも安定的に使用できるため、急速充電のポテンシャルを挙げられる(充電時間の短縮)など、数々のメリットを持つとのことだ。

全固体電池でBEVが身近になる未来

N-VAN e:の外観
N-VAN e:の外観(写真:三木宏章)

現在のEVモデルでは、航続距離を伸ばそうとするとバッテリーをたくさん積載する必要があるため、車体が重くなり、電費やハンドリング性能も低下する。また、価格が高くなるという問題も生まれる。また、充電時間も、現状では急速充電でも30分近くは必要。ガソリン車がスタンドで給油するほどの短時間での充電は難しいなどの問題もある。

ホンダが開発中の全固体電池は、これら課題を解消し、EVモデルをもっと(今のガソリン車などのように)普通に使えることが期待できるだけに、今後かなり注目だといえる。

そして、そうなれば、N-VAN e:もより魅力で、さらに多くのユーザーに支持されるようになるはずだ。前述のとおり、現在のN-VAN e:では、1回の充電における走行距離(一充電走行距離)がWLTCモード値245km。もし、ホンダの目標どおりに、2020年代後半に全固体電池により航続距離が2倍になれば、1回の充電で490kmまで走ることができるようになる計算だ。さらに、2024年代までには今の2.5倍、600km以上の航続距離が可能となる。

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加えて、充電時間もより短くなれば、まさに鬼に金棒。それで、コスト低減などで現在のガソリン車と同じ価格帯にすることができれば、筆者のような庶民でも、十分に購入の対象となる。もちろん、自宅や出先での充電設備の数や充電時間といった問題は残るが、頻繁な充電が不要となるなどバッテリーの性能向上次第では、BEVの実用性は今よりもかなり上がるはずだ。

そう考えると、BEVの進化・普及には、全固体電池の実用化も大きなファクターとなる可能性は高い。次世代車に関わる重要な要因のひとつだけに、今後の動向に注視したい。

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平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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