能登半島地震から1年。頻発する災害への対応では、人材の育成や確保を軸とした行政組織が必要だ。
新春には、正月気分だといって、その年の政界動向を気楽に論じることが多い。しかし、能登半島地震からまもなく1年。めでたいはずの元日に尋常ならざる地震に見舞われ、孤立した能登の窮状は記憶に新しい。また今年9月の豪雨で追い打ちをかけられた被災地のことを考えれば、素直に正月を祝う気分になりにくい。
今や日本は多様な自然災害に毎年のように襲われている。「災害列島」は誇張ではない。政府の役割として、災害対策が重要課題であることは言うまでもない。ところが、防災に関する政府の組織体制が十分かといえば、それに対する疑問が投げかけられてきた。防災を直接担当する部局は、内閣府にごく小さな部門があるだけだ。
石破茂首相は、防災庁の設置、つまり防災体制の強化を掲げて、政権の座に着いた。総選挙の結果、少数与党となった状況では、石破首相の主張は通りにくい。だが、防災体制の拡充は、与野党を超えた支持を集めうる。実際、2024年末の補正予算審議では、野党から能登半島地震関連予算の増額が提案される局面もあった。このテーマは、与野党協調が可能な分野だ。
行政部内の反対が強い新機関設置
政治が賛成するにもかかわらず、これまで防災体制の強化が進まなかったのはなぜか。実のところ、防災を担当する内閣府防災担当は少しずつ強化されてきた。しかし、防災庁といった新たな行政機関を設置することには、行政部内の反対が強い。
これは、直ちに想像されるような省庁間の権限争いが原因ではない。防災庁をつくり、政府の司令塔機能を強化するといった話をしばしば聞くが、司令塔という面では、今のやり方が悪いわけではない。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら