「洋上風力発電」が地球に悪影響も与える驚く事実 世界の科学者による解析で示された報告書の中身
報告書が強調するのは、「1つの課題への対処を優先させるシナリオ」の誤り。生物多様性であれ、水の保全であれ、食料生産であれ、人の健康であれ、気候変動の緩和であれ、1つの課題を優先させる取り組みが、ほかの状況を悪化させる「トレード・オフ」を引き起こす、と明記。
全体にとってよい結果をもたらせるかどうかは、「気候変動緩和のアプローチにより気候変動を抑制しながらほかの要素にネガティブな影響を与えない、という方法をとれるかどうかにかかっている」と説いている。
要約版は、5つの危機、課題間の相互連関を示した表を掲載している。表に盛り込まれた「課題への対応の選択肢」は75あるが、そこから20を選んで表にしてみた。今回は要約版が先行公表され、報告書本体の公表は来年になる見込みで報告書本体の記述を確認することができなかった。そのため、「なぜそうなるのか」と納得できない点もある。
「洋上風力」が生物多様性、水、食料、健康に悪影響
驚いたのは、例えば、日本では再生可能エネルギーの普及拡大の切り札として期待されている「洋上風力」が、生物多様性、水、食料、健康に悪影響をもたらし、気候変動対策としての貢献度も「小さな丸」で表されている点だ。「ダムの運用」も、食料、健康にネガティブな影響を与え、気候変動へも中程度の悪影響を与えるとした。
メガソーラーや巨大風車群などの再生可能エネルギーによる発電施設は、立地状況によって、地域社会や自然環境にマイナスの影響を与える場合がある。最近になって県や市町などの自治体が規制条例を作るなど対策に乗り出したが、課題(危機)への対応により、ほかの課題(危機)への悪影響が出る場合があることが、世界の科学者による解析で示されたのは、初めて。
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