「気づきを邪魔する」認知バイアスを自覚できるか 「二酸化炭素の排出抑制は地球のため」は本当か?
「それは当然だ。人類に優しく、という意味だとわかっている人がほとんどだ」と反論する人もいるだろう。しかし、僕は「この地球を自分たちの都合のいい場所にしておきたい」という人類の欲望を、観察できていない人が多いのではないかと考える。人類や自分を観察の対象の外側に置いてしまっているのだ。
「メガネ」の存在を意識すると、観察の結果は変わる
「認知バイアス」「身体・感情」「コンテクスト」。観察を阻むことのあるこの3つの要素を僕は「メガネ」と呼んだ。人はこの「メガネ」から、無意識下で必ず影響を受けてしまう。そのことを意識し続けることは相当に難しい。メガネの存在を意識できるかどうかで、観察の結果は自ずと変わってくる。
その中でも、特に観察を歪ませるメガネが、「認知バイアス」だ。これは、自分の思い込みや周囲の環境といったさまざまな要因により、非合理な判断をする心理現象のことだが、人はそこから完全に離れることはできない。僕自身を含めて、誰もが何らかの認知バイアスをもち、その影響を受けている。
僕と父が似ている話は、「父親と僕は違う」という定義の中で現実を見ていたところから、歳をとり、「僕と父は同じだ」という定義の中で見るようになったら、気づくことが変わったという話でもある。これも、対象の見え方に、大きな影響を与えている。
僕は心理学者ではないが、どうすれば認知バイアスを観察に活かせるかを知りたくて、相当調べてきた。そのうえで思うのが、大切なのはバイアスから逃れることではない、ということ。自分は認知バイアスの影響を常に受けていると自覚して、それを意識しながらモノを見たり、判断をしたりすることだ。
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