「気づきを邪魔する」認知バイアスを自覚できるか 「二酸化炭素の排出抑制は地球のため」は本当か?

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「それは当然だ。人類に優しく、という意味だとわかっている人がほとんどだ」と反論する人もいるだろう。しかし、僕は「この地球を自分たちの都合のいい場所にしておきたい」という人類の欲望を、観察できていない人が多いのではないかと考える。人類や自分を観察の対象の外側に置いてしまっているのだ。

「メガネ」の存在を意識すると、観察の結果は変わる

「認知バイアス」「身体・感情」「コンテクスト」。観察を阻むことのあるこの3つの要素を僕は「メガネ」と呼んだ。人はこの「メガネ」から、無意識下で必ず影響を受けてしまう。そのことを意識し続けることは相当に難しい。メガネの存在を意識できるかどうかで、観察の結果は自ずと変わってくる。

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その中でも、特に観察を歪ませるメガネが、「認知バイアス」だ。これは、自分の思い込みや周囲の環境といったさまざまな要因により、非合理な判断をする心理現象のことだが、人はそこから完全に離れることはできない。僕自身を含めて、誰もが何らかの認知バイアスをもち、その影響を受けている。

僕と父が似ている話は、「父親と僕は違う」という定義の中で現実を見ていたところから、歳をとり、「僕と父は同じだ」という定義の中で見るようになったら、気づくことが変わったという話でもある。これも、対象の見え方に、大きな影響を与えている。

僕は心理学者ではないが、どうすれば認知バイアスを観察に活かせるかを知りたくて、相当調べてきた。そのうえで思うのが、大切なのはバイアスから逃れることではない、ということ。自分は認知バイアスの影響を常に受けていると自覚して、それを意識しながらモノを見たり、判断をしたりすることだ。

佐渡島 庸平 コルク代表取締役社長CEO/ 編集者

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さどしま ようへい / Youhei Sadoshima

1979年生まれ。中学時代を南アフリカ共和国で過ごし、灘高校に進学。東京大学文学部を卒業後、2002年に講談社に入社し、『週刊モーニング』編集部に所属。三田紀房『ドラゴン桜』を担当。小山宙哉『宇宙兄弟』のTVアニメ、映画実写化を実現する。伊坂幸太郎、平野啓一郎など小説も担当。2012年、講談社を退社し、クリエイターのエージェント会社・株式会社コルクを創業。インターネット時代のエンターテインメントのあり方を模索し続けている。

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