ステランティスがCATLとの合弁に踏み込んだ背景には、ヨーロッパの自動車大手が(中国の電池メーカーが得意とする)リン酸鉄系リチウムイオン電池への評価を高めていることがある。
ヨーロッパの自動車大手は、以前はエネルギー密度がより高い三元系リチウムイオン電池を重視していた。だが近年の改良を通じてリン酸鉄系の性能が大幅に向上し、低コストのメリットが際立つようになったからだ。
「スペインのリン酸鉄系リチウムイオン電池工場が2026年末に稼働すれば、よりリーズナブルな価格のEVを生産できるようになる」。ステランティスは合弁契約の声明のなかでそう強調した。
EV失速はむしろチャンス
CATLにとっても、ヨーロッパの自動車大手と対等に手を組むメリットは大きい。
「ステランティスとの合弁事業は、双方の経験と強みを生かした成功事例になるだろう。CATLは全世界のパートナーとともに、より多くの新たな協業モデルを創造していきたい」。同社の董事長兼CEO(会長兼最高経営責任者)を務める曾毓群氏はそう述べ、今後の協業拡大に期待を示した。
ヨーロッパやアメリカの自動車市場では、ここに来てEVの販売が失速している。だが(圧倒的なコスト競争力を持つ)CATLにとって、現状はむしろ海外市場でのシェアを拡大するチャンスになるかもしれない。
というのも、EVの販売減少によりコスト競争力の劣る電池メーカーの淘汰が始まったからだ。例えばスウェーデンの新興電池メーカーのノースボルトは、2024年11月にアメリカ連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。
ノースボルトは今も再建策を模索しているが、同社の顧客はヨーロッパに現地生産拠点を持つ中国(のCATL)や韓国(のLGエナジーソリューションなど)の電池大手に流れる可能性が高いとみられている。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は12月10日
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