深刻化するオーバードーズ、販売見直しで防げるか 薬局やドラッグストアに求められる対応とは?

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オーバードーズの問題は、薬局や店舗が販売を拒否しても、なくなるわけではない。悩みを抱える人を適切な支援先につなげることが必要だ。だが、そうしたメンタルケアを行える従業員の育成や研修制度はまだ十分に広がっていない。

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の松本俊彦薬物依存研究部長は患者や家族のケアの重要性を指摘する。

「市販薬を買えなくなり、転売者から高い値段で購入する、違法薬物の使用に流れるケースもある。市販薬の中には身体依存が強いものもあり、濫用をやめようとすると(離脱症状が出て)かえって危険な状態になる場合もある。販売方法だけでなく、転売やほかの薬物への誘導をどう防ぐか、専門の治療にどうつなげていくかも重要な課題だ」(松本部長)

今回の制度改正は、薬局やドラッグストアでの対応を明確にするという意味で、一定の前進になるのは間違いない。ただし現場からは、効果的な取り組みになるのか、疑問や不安の声があるのも事実だ。

法改正の動きに合わせて、今後は業界団体によるガイドラインやより細かなルールの策定が本格的に進むことになる。深刻化するオーバードーズ問題に対し、業界内外の連携や人材の育成をどう進めていくのか。販売方法の見直しをきっかけに、より踏み込んだ対策を考えていくことが重要だ。

吉田 敬市 東洋経済 記者

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よしだ けいいち / Keiichi Yoshida

1988年生まれ。テレビ局記者を経て、2024年10月入社。現在はドラッグストアや調剤薬局の業界を中心に取材。流通・小売業のほか、人口減少、環境問題、災害といったテーマにも関心をもつ。大学時代は政治学を専攻。趣味はバスケットボール。

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