深刻化するオーバードーズ、販売見直しで防げるか 薬局やドラッグストアに求められる対応とは?

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例えば一度、販売を拒否しても再び来店する客もおり、そのたびに説明や対応をしなくてはならない。中には強引に購入しようとする客もいる。従業員の安全を守るため、店長が対応したり、複数の店員で対応したりするケースもあった。

クスリの龍生堂薬局は1933年に現在の新宿区で創業。地域密着型のドラッグストアだ(記者撮影)

新井店長は「軽い症状なら市販薬で自分自身で治すセルフメディケーションの考え方が広がったが、その中で間違った使い方をする客も増え、(オーバードーズが)社会問題になっている」と話す。

一方で「自分たちにできるのは客に対して質問することだけ。ほかの店と連携するにしても、個人情報保護の観点からどこまでの情報を共有したらいいのか判断が難しい」(新井店長)と悩みも語る。

適切な支援につなぐ取り組みも道半ば

必要な情報を提供する仕組みにも課題がある。

国立精神・神経医療研究センターではドラッグストアを通じて対策を進めようと、薬局の薬剤師を対象に、オーバードーズの知識や適切な支援先につなげる「ゲートキーパー」としての役割を学ぶ研修動画を作成した。

2023年9月から2024年1月にかけ、研修プログラムを始めたところ、856人が参加を申し込んだ。しかし、実際に動画を視聴し最後のアンケートまで回答したのは262人。多くの人が完了できなかった理由は薬剤師の忙しさにあった。ネットを通じた研修が職務として認められず、勤務時間外に受講するケースが多かったという。

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