JR東海道線の通勤特急「湘南」はどこをどう走る? 馴染み薄い貨物線から見たもう一つの東海道線

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発車するとすぐに貨物線に入った。下り線には貨物線が旅客線を乗り越す立体交差があり、これにより山側が貨物線、海側が旅客線の線路別複々線のまとまりとなる。鴨宮を過ぎるとさっそく籠原行きを追い上げ、国府津停車で減速するところを追い抜いた。当然ながら“純正”貨物線に旅客ホームはない。続いて二宮の先で小金井行きを抜く。やはり時速120kmに迫る速度で突っ走る特急は速い。

東海道線では、湘南新宿ラインのE231系統一前は旅客線の最高速度は時速110kmで、ライナーを高速で走らせたいとの意図から、貨物線を先に時速120km化(大船―小田原間)していた。普通列車の用には供さないが、通過前提の列車用として活用する。その点の使い方が東北・山手貨物線や品鶴線と異なる。結局、戸塚を過ぎて旅客線から離れるまでに6本を追い抜いた。

始発駅以外の着席需要を汲む茅ヶ崎・藤沢停車

一方、この間に茅ヶ崎と藤沢に停車した。両駅にはライナーを停車させるために貨物線上にホームが設置されている(藤沢1993年12月、茅ヶ崎1994年12月)。この両駅停車で7割程度まで乗車率が高まる。小田原は始発電車が数多く遠距離ゆえの選択肢としては新幹線もある。だからあえて「湘南」に乗る人は少ない。逆に、始発がない途中駅で俄然ニーズが高いわけだ。主要折り返し駅の平塚、横須賀線始発や京浜東北線がある大船も、貨物線にホームはない。

ところが「湘南」の中には国府津や二宮、平塚に停車する列車もある。これは最初は旅客線を走り、平塚駅の客貨線間の渡り線を通って貨物線に移っている。平塚以西は線路容量に少し余裕があるため、旅客線運転が可能なのだ。大船に停まる列車もあるが、その場合は全区間旅客線運転となる。まさに使える設備は駆使する、との考えで通勤ニーズに対応している。夕夜間の下りは新宿発のみが貨物線を走るが、藤沢、茅ヶ崎と停車したところで同駅構内の渡り線を使って旅客線に移る。

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