JR東海道線の通勤特急「湘南」はどこをどう走る? 馴染み薄い貨物線から見たもう一つの東海道線

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ここからは相鉄のネイビーブルーの電車や直通コンビのJR埼京線電車ともすれ違う。港北トンネルと生見尾トンネルが一続きの約6kmを5分近くかけて抜け出ると、ここでは三複線+複線の鶴見に達する。“浦島”感覚を味わう車窓変化である。ここは最も海側に位置を占める。旅客ホームはないのだが、線路が複数に分かれて並び、分岐ポイントを勢いよく駆け抜ける音が耳に響いてくるという点で、駅構内であることを実感できる。鶴見駅における横須賀線との対比は際立ち、素通りする横須賀線列車の運転時刻表に「鶴見」の記載はない。すなわち横須賀線に鶴見駅自体が存在しないのである。

鶴見を通過すると、前日にたどった横須賀線ルートを逆再生するように武蔵小杉へ戻ってゆく。しかし視点は横須賀線を横から眺める形となり、東海道旅客線を乗り越した後に横須賀線高架をくぐって再び山側に移り、南北約4kmに及ぶ新鶴見信号場に入ってゆく。上下線がJR貨物新鶴見機関区を含む構内の群線を抱き込むスタイルで、新川崎駅が電気機関車の向こう側に離れて見える。機関区に続いてはコンテナ列車が停車中の着発線が延び、それらの群線が収束すると武蔵野線(貨物専用区間の武蔵野南線)が地下トンネルへ下ってゆく。

ちなみに鶴見駅に関するもう一つの意外な事実。それは武蔵野線の起点ということだ。列車の起終点とならない信号場は、路線の起終点にも位置付けられない。したがって新鶴見信号場ではないわけで、すなわち鶴見となる。

貨物線から横須賀線を通って品川では東海道線へ

超高層マンションが眼前に迫ると小田原からの貨物線区間は終了し、横須賀線と合して武蔵小杉を通過する。

その後の「湘南6号」は、蛇窪で湘南新宿ラインのルートと分かれて横須賀線を進み、新幹線の横に並びつつ京浜東北線・東海道線を跨いで、在来線の並びの中では最も海側(新幹線はその海側)に出る。ストレートに品川駅に入れば横須賀線ホームで、その先は地下線へ入ってゆく。しかし「湘南6号」は、東京駅の東海道線地上ホームを終点とするため、身をくねらせながらいくつもの渡り線をたどり東海道下り線を横断し、東海道上り線側のホームに進入する。貨物線とは別だが、興味深い複雑なルートの一つである。

『鉄道ジャーナル』2025年2月号(12月20日発売)。特集は「複々線大研究」。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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