豪雪地帯の山奥に「奇跡の集落」なぜ誕生? 古民家再生を手掛けるドイツ人建築家の眼差し

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その後、カールさんが手がけた「カールベンクス古民家ゲストハウス」を購入。3カ月先までの予約がすぐ埋まってしまうほどの、人気のゲストハウスになっています。

「住み心地でいえば、ほかの街でも良かったんです。それでも松代に決めたのは、ここには伝統的な文化もあれば、大地の芸術祭のような新しい文化もあったからです」(中村さん)

このエリアでは縄文時代の火焔型土器が多数(そのひとつは国宝)見つかるほど、悠久の昔から続く暮らしの形跡が古い神社や祭などの行事に、さらに文献にも残っています。

それに加えて大地の芸術祭という、新しい文化も積極的に受け入れるという懐の深さもありました。

古いしきたりに固執することなく、新しくても良いものなら積極的に受け入れる。カラフルな古民家を「こんなものは伝統的な古民家じゃない」と拒否するのではなく、自治体までもがシェアハウスとして積極的に受け入れるのも、同じことかもしれません。

「美味しい食べ物、きれいな景観、心地よいコミュニティー、そして文化。私が『こういうのがあったら人生幸せだろうな』と思っていたことが、ここには全てありました」(中村さん)

「カールベンクス古民家ゲストハウス」にある階段下収納
「カールベンクス古民家ゲストハウス」にある階段下収納。令和9年(2027年)に築100年を迎える古民家だ(撮影/中田洋介)

別荘地をつくりたいわけではない

現在、カールさんが事務所(まつだいカールベンクスハウス)を構える松代の商店街には、カールさんが再生した古民家が他に3軒、同地域の街並み景観再生事業で外観のみをカールさん風に再生した古民家が8軒、さらに今後カールさんが再生しようと購入した古民家が4軒あります。

三井屋
松代の商店街、まつだいカールベンクスハウスの目の前にある「三井屋」。屋根融雪システムや床暖房と薪ストーブを備えるなど豪雪地帯でも快適に暮らせるよう施されている(撮影/中田洋介)
大きな吹き抜けのあるリビング
かつてお菓子がつくられていた1階の菓子工場部分は、大きな吹き抜けのあるリビングへと生まれ変わった(撮影/中田洋介)
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