豪雪地帯の山奥に「奇跡の集落」なぜ誕生? 古民家再生を手掛けるドイツ人建築家の眼差し
初めて竹所に訪れて以来、カールさんが手を伸ばして周囲を“巻き込んだ”のは確かですが、その手を払うことなく、つかんで一緒に動き出した住民たちにも、きっとどこかに外へ開く気持ちがあったのだと思います。
移住者と住民のコミュニケーションが新しいものを生む
イエローハウスの吉田さんも、竹所のコミュニティーについて尋ねると「とても心地よい」と表現します。
「約10年前から、週末に限ってカフェをやることにしたのですが、ちょくちょく訪れていただけるのはもちろん、お米や野菜などをたくさんいただくのです。週末に東京から来てみると玄関にドンと野菜が置いてあったり(笑)。東京なら、こういうのは買うのが当たり前なんですがね」
いただきものはカフェで提供したり、それでも余るものはぬか漬けにしたり。「カフェが終わって外の看板を引き上げる際に、近所の人とばったり会えば『今日はたくさん(お客さんが)来ていたね』と声をかけてくださったり。本当にありがたいです」(吉田さん)
さらに、カールさんが再生した松代の古民家「カールベンクス古民家ゲストハウス」を、令和5年(2023年)に購入して令和6年(2024年)4月からここで暮らしながらゲストハウスを運営している中村紀子(なかむら・のりこ)さんは「ここは人と繋がりやすい」と言います。