豪雪地帯の山奥に「奇跡の集落」なぜ誕生? 古民家再生を手掛けるドイツ人建築家の眼差し

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「ゲストハウスにはキッチンがあるのですが、1泊2日くらいの滞在だと、自分で料理をつくったりせず、コンビニのお弁当を温めて終わりという人がほとんどでした。

せっかく美味しいものがたくさんある松代に来たのに、それじゃあもったいないなと周囲の人に話したところ、近くにレストランをオープンするというシェフがいるから、相談してみたら?と言われたんです。

すると、ゲストハウスの宿泊者向けに特製のお弁当をデリバリーしてもらえることになりました」(中村さん)

特製のお弁当
(写真提供/カールベンクス古民家ゲストハウス)

また、つい先日は、近くの酒屋さんが中村さんに声をかけたことがきっかけで、このゲストハウスでワイン会を開いたのだとか。さらに、芸術祭の作品の一環としてプロの音楽家が地元の人を集めて結成した楽団に参加するという経験も。

「ここにいると『面白いことならすぐやろう』みたいな感じで、いろんな人と次々に繋がっていくんです」(中村さん)

伝統文化に加え、新しい文化を受け止める深い懐もある

さらに中村さんは、移住を決めた理由のひとつに、この地域の「文化」を挙げます。

「コミュニティーの心地よさも含め、住み心地としてはほかにも良い街はあったんです」と中村さん。

仕事でヨーロッパからアジアまで、これまでさまざまな海外で暮らしてきた彼女は、じっくり腰を据えて暮らす場所を探していました。

笑顔の中村紀子さん
「カールベンクス古民家ゲストハウス」のオーナー、中村紀子さん。同じ新潟県内、新潟市生まれですが、新潟県内に戻るつもりはまったくありませんでした。しかしここで暮らしてみると「新潟って、もっといえば日本っていいところだな」と思ったそう(撮影/中田洋介)

そんな時、たまたま友人に竹所のことを教えてもらい、このエリアを訪れてみると、思った以上に良い場所だと思ったそう。世界各地の有名な景勝地を見てきた彼女でさえも、カールさんと同じく、ここの優しい景色に魅了された1人です。

そしてお試し移住で暮らしたのが、カールさんが再生した古民家を活用した、竹所にあるシェアハウス。ここで「古民家は芸術品のようなもの。それが壊されることを止めたい」というカールさんの考えにも共感します。

グリーンのシェアハウス
竹所集落のある十日町市が移住希望者のために用意しているシェアハウス。もちろんカールさんが再生した古民家だ。同市にはもう1軒、同様のシェアハウスがある(撮影/中田洋介)
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