何かに感動して敬意を抱ける人であれば、婚活をしなくても心がときめく出会いはある。その相手と恋愛して、場合によっては結婚に至ったりする。
「シングル志向者」だった2人
3年前に結婚した井原麻里さん(仮名、49歳)と英輔さん(仮名、59歳)が知り合ったのは管理職向けのビジネスセミナーだった。「シングル志向者」だったという2人の間にどのようにして恋が生まれたのか。西新宿にある土佐料理店でランチをご一緒しながら話を聞くことにした。
麻里さんは首都圏で学習塾を経営している。創業者は亡き父親で、学生時代から一緒に運営していたという。会社員経験は一度もない。
「公務員の母からは『あなたは性格的にサラリーマンには向いていないと思う』と言われながら育ちました(笑)。父が亡くなってからは私が塾長をしていますが、大学生になった元塾生たちがアルバイトの講師をしてくれています。そのうちの1人が就職せずにうちを継ぐと言うのです。今は子どもが増えている地域だからいいのですが、いずれは少子化の波が来ます。彼の代になっても塾が生き残れるように、今のうちにオンライン講座の取り組みも始めているところです」
表情豊かにどんどん話してくれる麻里さん。自由闊達な雰囲気が漂う、ボブカットの女性だ。仕事場で子どもたちと過ごす時間が楽しく、1人暮らしの自宅と塾を往復するだけの充実した日々だったと振り返る。
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