北海道新幹線は1日何往復だと適切なのか 独自に「あるべき本数」を試算してみた
さて、北海道新幹線の開業により、鉄道による旅客輸送人員は2つの要素から増加が期待できる。ひとつは新幹線による所要時間の短縮効果によって鉄道の輸送シェアが向上するという点。もうひとつは新幹線の開業効果によって北海道と北海道を除く都府県間の旅客輸送人員自体が増えるという点だ。ひとつずつ検証してみよう。
北海道とその他の都府県間における鉄道の輸送シェアのうち、最も増えると見込まれるのは北海道のうち道南―関東(東京都と神奈川・千葉・埼玉・茨城・群馬・栃木の各県)間だ。2013年度の鉄道の輸送シェアは14・1%であったものの、東京-新函館北斗間が最短4時間10分で結ばれるとなれば、大幅な増加が期待される。
旅客輸送人員はどの程度増えるか
関東地方から新幹線を利用し、4時間ほどで到達可能な県は広島県だ。この区間での鉄道の輸送シェアは65・7%。仮に道南―関東間における鉄道の輸送シェアがこの数値まで上昇したとすると、鉄道の旅客輸送人員は1日当たり492人から2296人へと急増する。
今度は新幹線の開業によって旅客輸送人員自体がどの程度増えるのかを検証してみよう。参考としたのは関東―青森県間の旅客輸送人員の推移だ。
東北新幹線盛岡―八戸間の開業前年度となる2001年度と2013年度とを比較した結果は、どうなるか。自動車の旅客輸送人員を割愛した理由は、2009年度以前は自家用乗用車での旅客輸送人員を含んでいて数値が大きく異なっているからだ。自動車以外をもとに算出すると関東―青森県間の旅客輸送人員は1・34倍となる。
この数値を道南―関東間に当てはめると1日当たり4682人。65・7%という鉄道の輸送シェアから鉄道による旅客輸送人員は1日当たり3076人となる。492人から3076人へと2584人増えたのだから、北海道―北海道を除く都府県間での1日当たりの鉄道の旅客輸送人員は3832人に2584人を加えた6416人だ。以上から、北海道新幹線に必要な列車の本数は合わせて10本、片道5本ずつとなる。乗車率を先ほど挙げた52・4%とするならば、片道9本ずつの計18本運転すればよい。
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