「遺伝子組換えでない」の表示がめっきり減った訳 「遺伝子組み換え食品」は本当に危険なのか

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そのほか、遺伝子組換えされた微生物が、酵素の製造に用いられています。酵素は食品添加物として使われています。遺伝子組換えされた微生物自体は酵素の製造過程で取り除かれ、食べられているわけではありません。

遺伝子組換え技術はもともと、医薬品の世界で利用が進みました。ヒトのインシュリンや成長ホルモンなど、遺伝子組換え微生物が作っている医薬品が多数あります。たとえば、糖尿病患者に投与されるホルモンであるインシュリンは、以前は豚から取られ使われており、高価でした。

そのうえ豚のインシュリンはヒトのインシュリンと少し異なるため、副作用もありました。しかし、1970年代にヒトのインシュリンが遺伝子組換えされた微生物で生産されるようになって、大勢の糖尿病患者が安く高品質のインシュリンを得て救われました。

なぜ微生物の遺伝子を植物に?

微生物の遺伝子を植物に組み込むなどと聞くと、ギョッとする人もいるかもしれません。これが可能なのは、遺伝子を構成しているDNAが、どの生物でも共通だからです。遺伝子の違いは、DNAに含まれる塩基の配列により生じます。

ただし、ヒトとほかの生物が共通に持っている遺伝子も多数あります。生物の進化の歴史の中でも、ある生物の遺伝子が別種の遺伝子に入る、というような自然の遺伝子組換えが多数起きてきたようです。

こうした研究も踏まえ、遺伝子を別の種の生物に導入する遺伝子組換えが行われています。どんな遺伝子がどこに入って何を作るか、ケースによってまったく異なります。場合によっては毒性物質やアレルゲンが生産される可能性もあるので、日本では、内閣府食品安全委員会や農林水産省、消費者庁などが審査し、組換えされていない品種と同等に安全と評価したものだけを認める仕組みとなっています。

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