ここ数カ月の株価乱高下は、中国経済のファンダメンタルズよりも株式市場の特異性と関係している。欧米など先進国では長期のファンダメンタルズを重視する多くの機関投資家が相場安定に寄与しているが、中国市場では短期の利益を追求する傾向の強い個人投資家が主流だ。そのため値動きが激しくなり、株価と経済実態との関連がより薄くなるのだ。
さらに、株式市場に名を連ねる各社は、中国企業を代表してはいない。多数派である国営企業は市場の時価総額の3分の2を占めるが、GDPには3分の1程度しか貢献しておらず、雇用への寄与度はさらに低い。
中国市場での株価高騰は、政府が預金利率の上限を定めていた時期に生じた。預金に代わる投資対象がほとんどなく、低いリターンしかもたらさない場合は、株式市場がより魅力的に見えるのだ。国内の主要な新聞が株価上昇を予測している場合は、特にそうである。
預金利率の上限撤廃論議も株価を押し下げた要因だろう。1年以上の定期預金に適用される利率の上限は8月25日に廃止された。また、富裕層による国外への資産移転がより容易になったことが、米国での利上げ期待とあいまって、株価下落を加速させた可能性が高い。
改革による生産性向上こそがカギ
さらに言えば、米ハーバード大学のジェフリー・フランケル教授が指摘したように、今年に入って必要証拠金率が相次いで引き上げられたため、借入金で株を買うことが以前より難しくなった。ファンダメンタルズと関連のない投資家心理の変化もまた、市場変動の原因となりうる。
中国経済が急成長を続けられるかどうかは、株価動向よりも改革の実行力に大きく依存している。長期的に繁栄するには、総合的な生産性の向上がカギだ。国営企業と金融業界を徹底的に見直して、より生産的な投資プロジェクトに資金を投じられるようにする必要がある。企業の税負担軽減や労働市場の改革も有益だろう。
プロフェッショナルな市場への改革を続けるかぎり、中国は世界全体のGDPの中期成長に最も大きく貢献する単独の国であり続ける。改革が実施されれば、中国は株価の下落などまったく心配しなくなるだろう。
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