実録「石丸現象」、"選挙の神様"も舌を巻いた瞬間 選対事務局長も「まったく予期せぬ展開」だった
青山和弘(以下、青山):2024年の選挙シーンは、まさにSNSが席巻したといえます。藤川さんは東京都知事選挙で石丸伸二候補の選対事務局長を務めました。「石丸現象」は大きな話題となりましたが、最初からこういうものを起こそうと意図していた選挙戦だったのでしょうか?
藤川晋之助(以下、藤川):まったく予期せぬ展開だったというのが本音です。われわれ”選挙のプロ”というのは、(選挙結果に影響する活動について)大体地上戦が5割くらいで、空中戦が4割、SNSは1割程度だなと考えています。今の若い人たちがSNSで選挙に関心を持っても、投票行動に結びつかないだろうという認識をずっと持っていたんですね。
ところが、そういう固定観念が石丸現象によって完全に覆されました。いちばんの要因は、やっぱり石丸さん本人がYouTuberとしての才覚をしっかり持っていたことだと思います。
わずか10日間で知名度が爆上がり
藤川:彼が最初に私のところに来た時、東京都での石丸氏の知名度について調査をしたら、たった15%だったんですね。ほかの2人の候補(小池百合子氏、蓮舫氏)は70~80%なので、これはまずいなと。
そういう時にしなきゃいけないのは、「女性の2強対決」の報道に集中してしまっているオールドメディアに、石丸氏をしっかりと候補者として取り上げてもらい、なんとか「3強」の構図に持っていくことです。そのための救いはネットにしかないだろうと、そういう認識はありました。
それで各所と相談しながら決断したのが、YouTubeに力を入れようということでした。そこからYouTuberの人たちがどんどん寄ってくることになるのですが、10日間くらい経ってからもう一度石丸氏の知名度調査をしてみると、15%から60%程度まで上がったんですよ。この拡散力は何なんだ、と驚きました。
その時点でやっとオールドメディアが注目し始めた。だから「石丸現象」というのは、オールドメディアとニューメディアがうまくハイブリッドして成功した例だと思います。一方の斎藤元彦氏の兵庫県知事選は逆で、新旧が対立し、ニューメディアだけであそこまで行った例なのかなと。
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