韓国・尹大統領弾劾決定「野外フェス」のあと 待ち受けるのは熾烈な権力・法廷闘争か

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もちろん、12月4日未明に戒厳令の解除が国会で議決されず、今も一切の政治活動や集会が禁じられていたならば、このような明るい雰囲気が広がることはなかった。メディアも戒厳司令部の統制下に置かれていた。韓国社会は一気に1980年代中盤までの軍事独裁時代に逆戻りしかねなかったのだ。

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なぜか「ハワイアンピザ愛好会」と書かれた旗も(写真・同)

あらためて、一晩かぎりで戒厳体制が終わったのは幸いであったと思う。

尹大統領の弾劾訴追案を採決するための国会は午後4時から開かれ、それから約1時間後に結果が議長によって読み上げられた。「賛成204人」と可決に必要な200人を超えたことが明らかになるやいなや、汝矣島は歓声に包まれ、赤と青の風船が空に放たれた。

華やかさの裏に権力闘争の怨念

人々は抱き合って喜び、K-POPの演奏が再開され、場所によっては伝統的な楽器で演奏するサムルノリを披露するグループも。野外フェスのような盛り上がりは最高潮に達した。

しかし、私は高揚感を覚えなかった。国籍が違うから、ということ以上に、韓国社会が今回の事態に至った背景を直視するのを避けているように思えてならないためだ。戒厳令という極めつけの悪手が放った衝撃が強すぎたせいかもしれない。

まず、検事一筋で政治経験がなかった尹錫悦であったが故に戒厳令という極端な選択をした、という批判が強い。であるなら、彼を大統領候補として迎え入れた保守派与党「国民の力」も責任を追うべきである。

「国民の力」では、朴槿恵が弾劾されて政権を進歩派に奪われて意気消沈していたところ、文在寅(ムン・ジェイン)政権と真っ向から闘った検事総長の尹錫悦が救世主に映った。党内に有望な人材はいなかった。

そうした切羽詰まった状況から、「これが正しい」「相手は悪だ」と決めるとどこまでも突っ走るという彼の性格を十分に理解しないまま、大統領選で勝てるかもしれないという一点だけで担いだといえよう。

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