「中学受験」で子どもの"言語能力"が身につく理由 タブレット端末の学習では得られないこととは

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教育のデジタル化だけでなく、子どもたちが生きていく未来は、これまで以上に変化の激しい時代になり、ますます前例を踏襲すれば良いとは限らない時代になります。

常に未知の出来事や技術、課題と向き合い続けなければならず、それらを乗り越えるための力を身につけていかなければなりません。

よく「思考力」が最も重要といわれますが、「思考する」という行為は常に言語を用いて行われるので、「言語能力」がすべての能力の土台であるといっても過言ではありません。

子どもたちの能力開発という視点で考えると、中学受験の最も大きなプラス面は「言語能力」を鍛える機会になることです。なぜなら、数多くの文章に触れることができ、数多くの言葉や知識を、言語のやりとりを通じて学べるからです。

中学受験で身につく「言語能力」

中学受験では長い条件設定を正しく読み取り、その中から必要な情報を引き出す練習や、漫然と感覚的にわかっていることを言語化して抽象化する練習も行います。

まだまだ感覚的で、具体的なものでなければ理解しきれない子どもたちにとって、抽象的な事象を理解したり、言葉を使って抽象化したりすることは、思考するために必要な「言語能力」を鍛える訓練となります。

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もちろん、小学校の学習でも行っていますが、進学塾では小学生には難しいとされるレベルの題材を使って訓練することで、より大きな成長につながるのです。

英語やプログラミングを習わせることも、それらに対する動機付けという面では大切ですが、小学生のうちに習ったことが、将来の武器になる可能性は非常に低いとも言えます。

それならば、小学生の間は親子できちんと会話したり、本を読ませたり読み聞かせをしたりといった、言葉を使った生活環境を大事にする方が、将来の武器になる可能性が高いといえるのではないでしょうか。

大人が子どもたちに「言葉があふれている」環境を与えることの価値が近年大きくなっていますし、今後もさらに大きくなっていくのではないでしょうか。

黒田 耕平 希学園理事長兼学園長

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くろだ こうへい / Kouhei Kuroda

1975年兵庫県伊丹市生まれ。大阪大学在学中より塾講師業に携わり、希学園の算数科講師として、灘中をはじめとした最難関中学校へ多数の合格者を輩出。2009年より希学園学園長に就任した後も、経営トップと二足のわらじをはきつつ、低学年から灘中受験を目指す6年生まで幅広く授業を担当。自ら生徒指導の第一線に立ち続けながら、塾生に一生懸命にやりきることの大切さとその先にある合格・成長の喜びを伝え続けている。著書に『未来につなぐ中学受験』(クロスメディア・パブリッシング)。2015年より神戸新聞にて教育・受験コラムを連載中。

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