ドゥカティ「ムルティストラーダV4S」王者の貫禄 快適な冒険を求める大人のアドベンチャーバイク

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新型には自動車高低下機能(オートマチック・ロワリング・デバイス)が搭載され、速度が10km/h以下になるとリアサスペンションが調整されてシート高が約30㎜下がる仕組みになっている。オフロードも走るアドベンチャーバイクは走破性を高めるためサスペンションも長く、必然的にシートも高くて当たり前と思っていたが、これは嬉しい誤算である。たった数センチではあるが、プリロード(バネの初期荷重)を抜いて下げる仕組みなので数値以上に沈み込む感じなのだ。

ドゥカティらしい扱いやすさは健在

ユーロ5に対応する新設計エキゾーストシステム。サイレンサーはより薄くコンパクトになり排気音もチューニングされている
ユーロ5に対応する新設計エキゾーストシステム。サイレンサーはより薄くコンパクトになり排気音もチューニングされている(写真:Ducati Motor Holding spa)

V4エンジンの加速は強烈だが鼓動はV2と比べるとキメ細かく、パワーデリバリーはいたって滑らかで扱いやすい。低回転域でも途切れないV4エンジン特有のフラットトルクで、次々に現れるタイトコーナーもギアを落とすことなく力強く登っていく。ハンドリングも秀逸。軽快さの中に大径19インチホイールらしい安定感があり、狙ったラインをきれいに描ける正確さはドゥカティならではだ。

欧州標準仕様は840mm~860mmの2段階でシート高を変えられる。オプションシートを組み合わせることでさらに±30mmの範囲で調整可能
欧州標準仕様は840mm~860mmの2段階でシート高を変えられる。オプションシートを組み合わせることでさらに±30mmの範囲で調整可能(写真:Ducati Motor Holding spa)

ライディングモードによってバイクのキャラクターがガラっと変わるのも従来どおり。市街地ではエンジン特性が穏やかでサスペンションも柔らかめの「アーバン」モードでまったりと走っていたが、山へ向かって次第に曲がりくねった峠道に入り「スポーツ」モードに切り替えると、アクセルのレスポンスが一段と鋭くなりエンジンパワーが盛り上がる。電子制御サスペンションによって車高が上がって減衰力も強くなり、さながらスポーツバイクへと変身するのだ。それも一瞬で。また、ACCやBDS、新たに追加された前方衝突警報などのアシスタンス機能も使ってみたが、とりわけ長距離ツーリングや悪天候時には頼りになるはずだ。

次ページスイッチひとつでキャラクターの変わる面白さ、雨天での安心感に浸る
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