ドゥカティ「ムルティストラーダV4S」王者の貫禄 快適な冒険を求める大人のアドベンチャーバイク

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電子デバイスへのアクセスは左グリップのスイッチで行う。上段右がACCで真ん中の±が車間距離調整用、左がサスペンション調整とライディングモード。右下のジョイスティックで画面をスクロールして設定を変える仕組み
電子デバイスへのアクセスは左グリップのスイッチで行う。上段右がACCで真ん中の±が車間距離調整用、左がサスペンション調整とライディングモード。右下のジョイスティックで画面をスクロールして設定を変える仕組み(写真:Ducati Motor Holding spa)
6.5インチTFTカラーディスプレイにはライディングモードに「ウェット」を追加。日本語表示も可能になった
6.5インチTFTカラーディスプレイにはライディングモードに「ウェット」を追加。日本語表示も可能になった(写真:Ducati Motor Holding spa)

当日は生憎の雨天だったが、かえって新型の実力が光った。スイッチひとつで「ウェット」モードに切り替えると、出力特性が穏やかになりコーナリングABSやトラコンも最適化されるだけでなく、驚くことにサスペンションも低ミュー路面でのグリップを優先した「ウェット」専用の設定へと自動調整される。欧州の滑りやすい路面のはずなのにタイヤが吸い付くような安心感だ。

新型ムルティストラーダV4S(アドベンチャー仕様)でワインディングを走行する筆者
新型ムルティストラーダV4S(アドベンチャー仕様)でワインディングを走行する筆者(写真:Ducati Motor Holding spa)

ブレーキも進化していた。新たにリアブレーキ操作だけでも前後に最適な制動力を配分される機能が付いて、けっこうなペースで走っていてもほぼリアブレーキだけで間に合ってしまう。変な話、土砂降りの中でラフにアクセルを開けても急ブレーキをかけても、なかなか破綻してくれないのだ。4輪に例えるならハイメカ満載の高級SUVといった感じかも。「そんなバイク任せは望んでいない」という人もご安心を。こうしたサポート機能は手元のスイッチで最低限にすることもできる。自分でバイクを操る楽しさを奪われることはないのだ。

快適で安全な旅をスタイリッシュに楽しみたい大人へ

ダート走行する筆者。「エンデューロ」モードでオフロード車に早変わりする
ダート走行する筆者。「エンデューロ」モードでオフロード車に早変わりする(写真:Ducati Motor Holding spa)

続いて林道にもトライ。オプションのクロススポークホイールにデュアルパーパスタイヤ(ピレリ・スコーピオンラリーSTR)を装備したダート仕様に乗り換えてトライした。さすがに1200ccの排気量とフル装備で250kg近い車重にビビりながらスロットルを開けていく。

走行中に「エンデューロ」モードに切り替えるとエンジン出力が115psに抑えられ出力特性もよりマイルドに。電制サスは悪路に備えて自動的にプリロードを上げつつもストロークする設定となり、リア側のABSが解除されてトラコン介入度も最小限となる。簡単にいうとオフロードバイクに変身するわけだ。アルミ製ボックスを車体左右にマウントした状態でもあまり意識することなく普通に走れるし、慣れてくると後輪を軽く流しながらコーナーを立ち上がるアドベンチャーらしい走りもできてしまう。

ドゥカティ新型アドベンチャーモデル「ムルティストラーダV4S(MultiStradaV4S)」
ドゥカティ新型アドベンチャーモデル「ムルティストラーダV4S(MultistradaV4S)」(写真:Ducati Motor Holding spa)
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とはいえ、ガチなオフロードを泥まみれになって進むためのバイクではない。快適で安全な旅をスタイリッシュに楽しむための最適解なのだ。新型ムルティストラーダV4Sは本来の優れたパフォーマンスを底上げしつつ、さらに全方位的な進化を遂げていた。いい歳をした大人のライダーにこそふさわしいアドベンチャーバイクである。

なお今回試乗したのは欧州仕様。日本導入モデルの価格はV4Sが337万7000円~、スタンダード仕様のV4が279万8000円~(消費税込み)となっている。また、私のオフィシャルYouTubeでも「新型ムルティストラーダV4S海外試乗インプレッション」の動画をアップしているので、ぜひあわせてご覧いただきたい。

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佐川健太郎 モーターサイクルジャーナリスト

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さがわけんたろう / Kentaro Sagawa

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。2輪イベントの司会、PVモデル&テストライダー、2輪メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース エキスパート」オーサー。元MFJ公認インストラクター。日本交通心理学会員。二輪車安全運転指導員。

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