ドゥカティ「ムルティストラーダV4S」王者の貫禄 快適な冒険を求める大人のアドベンチャーバイク

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フルLEDヘッドライトは前輪近くを明るく照らす機能が追加された。センター部分に見える四角形のパーツがレーダーセンサー
フルLEDヘッドライトは前輪近くを明るく照らす機能が追加された。センター部分に見える四角形のパーツがレーダーセンサー(写真:Ducati Motor Holding spa)

「V4グランツーリスモ」と名付けられた水冷90度V型4気筒1158ccエンジンはクラス最強レベルの最高出力170psは踏襲しつつ改良型のエンジン休止システムを投入。従来のアイドリング時だけでなく、低速で走行時にも前側の2気筒のみを稼働させることで低燃費やエンジンの熱対策を向上させている。

ちなみにドゥカティのスーパースポーツ系に搭載されているV4エンジンとは排気量や出力特性も異なる専用設計で、バルブ駆動方式も伝統的なデスモドロミックではなく耐久性に優れるスプリング方式とすることで6万kmのメンテナンスサイクルを実現するなど、アドベンチャーバイク向きの仕様に最適化されている。

水冷90度V型4気筒DOHC4バルブ1158ccから最高出力170ps/10500rpmを発揮する「V4グランツーリスモ」エンジン。MotoGPテクノロジー由来の逆回転クランクを採用
水冷90度V型4気筒DOHC4バルブ1158ccから最高出力170ps/10500rpmを発揮する「V4グランツーリスモ」エンジン。MotoGPテクノロジー由来の逆回転クランクを採用(写真:Ducati Motor Holding spa)

車体も見直され、後輪を支えるスイングアームの取り付け位置を変更することで加速時やタンデム走行でのトラクション性能を高めてハンドリングを向上。電子制御もさらに進化し、停止直前に車高を自動的に下げる機能のほか、新たに「ウェット」モードを追加し雨天走行での安全を確保。また、荒れた路面で前輪が受けた衝撃を解析してリアサスペンションの動きを瞬時に調整する「バンプ検知機能」を追加した。

剛性バランスを最適化した両持ち式アルミ製スイングアームを採用。ピボット位置を1mm上げることでアンチスクワット効果によりトラクション性能とハンドリングを向上させた
剛性バランスを最適化した両持ち式アルミ製スイングアームを採用。ピボット位置を1mm上げることでアンチスクワット効果によりトラクション性能とハンドリングを向上させた(写真:Ducati Motor Holding spa)

さらに前走車を自動追尾するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)やバックミラーの死角に入ってきた車両を検知するBSD(ブラインド・スポット・ディテクション)に加え、新たに前方衝突警告機能も搭載されるなど、より安全で快適な方向へとスタンスを広げている。

試乗インプレッション:足着きの良さに驚く

電子制御サスペンションはライディングモードに合わせてデフォルトで最適化されるほか、荷物やタンデムによってプリロードを任意に調整可能
電子制御サスペンションはライディングモードに合わせてデフォルトで最適化されるほか、荷物やタンデムによってプリロードを任意に調整可能(写真:Ducati Motor Holding spa)

さて今回の試乗はアドリア海に臨むイタリア東部の街で行われた。遠目には従来モデルと変わらないが、よく見るとフロントカウルのデザインが洗練されホイールやサイレンサーの形状も新しくなっている。跨って最初に気付くのはシートの低さで、両足ともべったり地面に着く。

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