「カグラバチ」が"サイバー・松竹連合"でアニメ化へ 業界注目の人気漫画を2社が射止めた理由

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また、カグラバチのコンペでは、海外展開プランも重要な選考ポイントとされたようだ。サイバーエージェントでアニメなどエンタメ領域を管轄する山内隆裕専務は4月、東洋経済のインタビューにおいて、「アニメイベントではないが、近い客層のイベントを企画している」と、海外におけるIP(知的財産)ビジネスの可能性について含みを持たせていた。同社が今後に向けて仕込んでいる海外関連の施策が、集英社側の目に留まった可能性もあるかもしれない。

サイバーエージェントと松竹がタッグを組むこととなった詳しいいきさつは不明だが、両者はよい意味で異なる強みを持つ。

サイバーエージェントが抱える動画配信サービス「ABEMA」は、順調にユーザー数を拡大しており、中でもアニメ視聴が相応のボリュームを占める。ネット広告代理部門の協力を取り付け、大口顧客とアニメのタイアップキャンペーンを成立させた実績もある。一方、松竹は映画館への配給機能と、グループでも20館以上の映画館を有している。

業界の勢力図を変える分岐点となるか

デジタルに強いサイバーエージェントとリアルに強い松竹で、配信や2次利用、劇場版の展開といった工程を補完し合うシナリオも浮かび上がる。実は2025年1月公開のアニメ映画「劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク」では、製作幹事をサイバーエージェント、少額出資する松竹が配給を担っており、同作で連携を深めた状態でカグラバチのアニメ化に臨むことも期待できる。

両社は東洋経済の取材に、「当社からお話できることはない」(サイバーエージェント)、「個別の作品に関するお問い合わせについては、回答を差し控える」(松竹)とコメントした。

アニメ業界は目下、企画・製作からスタジオ機能、動画配信まで圧倒的な総合力を有し、KADOKAWA買収も取りざたされるソニーグループと、ヒット作連発に怒涛のM&Aで総合力を高める東宝の2強状態ともいわれる。

「カグラバチ」のアニメ化は、サイバーエージェントか松竹、あるいは両者連合が「第3極」として存在感を示すきっかけとなるのか。今後のアニメ業界にとって、大きな分岐点となるかもしれない。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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