ガスト「1990円フレンチ」に見るファミレスの変容 デニーズより遥かに話題に、一体なぜ?

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そして、先ほども見た通り、デニーズも代表的な中価格帯のファミレスであり、なんとも中途半端な位置に置かれていることは確かである。実際、その店舗数は少しずつ減っており、そのポジショニングに苦慮しているところは否めない。

そして、コース料理の提供においてもガストと比べると、どこかその際立った特徴が掴みづらく、話題になりづらいのではないか。中価格帯店の厳しさが、思わぬところからも明らかになる形となったように、筆者には感じられた。

コース料理の提供にも、中価格帯ファミレスの厳しさが見える

『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』書影
『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ガストのフレンチコースがここまで話題を呼んだのは、最近のガストが値下げを行い、低価格路線を突き進んでいたからだろう。そんな中、こんなメニューが!? というところに驚きがあった。

実際、1990円のメニューはガストにしては高く、店の方向性とのミスマッチ感も否めないが、期間限定なこともあって、これだけ話題になれば十分、ということなのかもしれない。

久々に足を運ぶことで、「ガストって、意外といいな」と思う消費者も少なくないだろう。そう考えると、広告費という意味でも、十分元は取っている、ともいえそうだ。

逆に、なまじ少し高級路線を取っているデニーズがコース料理などの取り組みで話題にならないことを見ると、中価格帯のファミレスが置かれた厳しさが、より一層際立つのである。

谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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