ガスト「1990円フレンチ」に見るファミレスの変容 デニーズより遥かに話題に、一体なぜ?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、そもそも、デニーズは中価格帯のファミレスで、ガストに比べて相対的に割安感を出しづらいことも指摘できると思う。

例えば、デニーズのBEEFハンバーグステーキは税込み990円で、ガストの鉄板目玉ハンバーグが税込み660~740円(ガストは地域別の値段制を採用している)なのに比べると、数百円程度高い。また、生ビール(中)も税込み638円で、ガストが税込み540~590円なのに比べ、少し高い。

こうした中で、アルコールと料理をいくつか頼むと、一人2000円近く掛かってしまう、というのがデニーズの価格設定で、その中で3000円のコースを出されても、まあ、そうなるよな……という気持ちにしかならないのが正直なところではないだろうか。

この意味でも、デニーズのコース料理はどこかインパクトに欠けてしまうのだ。もはやこの際、コース料理が4000~5000円程度なら、もう少し話題になっていた気もする(売れるかどうかは、別として)。

デニーズ ハンバーグ
デニーズのハンバーグ。もちろん十分コスパが良いが、競合が多い中、消費者としてはどうしても比較してしまうところだろう(筆者撮影)

二極化するファミレス

そもそも、私はこうした「中価格帯」のファミレスは現状、かなり厳しいのではないかと思っている。それを説明するために、ファミレス業界全体の状況を見てみよう。

ファミレスは近年、業界全体として苦境に立たされている。日本ソフト販売株式会社が発表している統計データによると、2023年、ファミレスの数は前年比で店舗数が3.1%減少している(前年は1.8%減)。

ファミレス

チェーンレストランがさまざまに増え、「食べたいものがなんでも食べられる」のは当然のことになり、人々はより専門的においしいものが食べられる一品目特化型のチェーンレストランに行くようになった。ある意味、これまでの意味でのファミレスは頭打ちなのだ。

このような状況の中、ファミレス各社が現在行っているのは「ファミレス業界内でのポジションの再構築」である。これまでは「ファミレス=安めのレストラン」「家族で行けるレストラン」という印象だったが、各社がそれぞれの強みを発見しながら、より強く独自の色を付けようとしている。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事