ソニーが「KADOKAWA買収」で直面する3つの難題 クセの強い2社がタッグを組むのは簡単でない

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アニメとその周辺ビジネスでも、相乗効果は大きい。今年4月の経営方針説明会でソニーの吉田憲一郎会長は「アニメは世界に通用するエンターテインメントだ。ソニーもクリエーションで貢献していきたい」と述べるなど、ソニーはアニメ事業に注力する姿勢を明確にしている。

アニメ事業の中核は製作会社のアニプレックスと、2021年に買収した海外向け配信プラットフォームのクランチロールだ。例えば、今年5月の経営方針説明会で十時裕樹社長が取り上げた5つのアニメ(冒頭写真)は、すべてソニー傘下のアニプレックスが製作に深く関与している。

ただ、「鬼滅の刃」は集英社、「WIND BREAKER」は講談社、「俺だけレベルアップな件」はKADOKAWA、「マッシュル」は集英社、「ぼっち・ざ・ろっく!」は芳文社というように、版権元の出版社はさまざまだ。共同作業は得意でも、ソニーはコンテンツの原石を掘り起こしたり、グッズ展開までを一気通貫で行うノウハウに乏しい。

メディアミックスに知見

一方のKADOKAWAは、ライトノベルやマンガの編集者からアニメのプロデューサー、関連グッズの企画担当者まで、関連ビジネスをすべて社内で完結できる垂直統合型のビジネスモデルを強みとする。

KADOKAWAが得意とするメディアミックスの知見は、アニメ事業の世界展開を目指すソニーにとっての起爆剤となる可能性がある。しかし、市場が期待するような相乗効果を実現するためには超えなければならないハードルが少なくとも3つある。

1つはどのようなスキームで株式を取得するかという問題だ。「買収」と報じられてはいるものの、交渉は初期の段階で、ソニーがKADOKAWAの完全子会社化を目指すのか、株式の一部を取得するつもりなのかは判然としない。

KADOKAWAの株主構成を見ると、韓国IT大手のカカオが約9%を保有するほか、2021年から資本業務提携関係にある中国IT大手のテンセントが約7%などとなっており、買収を阻むような大株主はいない。

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